流域における市街地の拡大に伴い、土地利用の変化や道路舗装、下水管敷設により、雨水が速やかに流出する傾向が強まっている。さらに、近年の局地的豪雨の発生により、都市河川の流出量が増大し、流出時間が短縮することにより、河川からの溢水・氾濫や市街地での浸水被害が頻発している。豪雨を地下へ浸透あるいは貯留させ、河川への流出を抑制する方策を進めることは、豪雨に対して都市域を強靭化するうえで喫緊の課題である。 都市域のゲリラ雨に対する雨水流出抑制方策として、透水性アスファルト舗装があるが、アスファルトが高温下で流動し機能の劣化が早いため、耐久性の高いポーラスコンクリート (POC)舗装が注目されている。POC は砕石を粗骨材とする多孔質材料であり、連続した粗大空隙をもち、きわめて大きな透水能力をもつことから、雨天時の路面湛水を防ぐことができる。しかし一方で,その透水性の高さゆえに、舗装内に浸透した雨水は速やかに排水され、下水道さらには市内河川に流出することが予想される。結果として、豪雨に対する十分な流出抑制効果が得られないのではないか危惧される。 そこで本研究では、Ⅰ. 実物大スケールの POC 舗装を建設し、降雨装置による模擬降雨を用いた浸透実験によりPOC 槽内の雨水浸透・流出過程を計測、Ⅱ. POCなど粗粒媒体特有の水理特性である非線形透水法則および末端流出部での浸出面形成機構を室内実験によって検証、Ⅲ. それら水理特性を組み込んだ水理解析モデルを構築し、POC 舗装の流出抑制効果を不透水性舗装と従来の細礫を用いた透水性舗装と比較することによって定量的に評価した。さらに、POC舗装の流出抑制効果を高めるとともに、雨水を地下浸透させることで流域の水循環改善に寄与するための舗装形態として、雨水貯留槽を備えた新たなPOC舗装を提案した。
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