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2023 年度 実施状況報告書

鉄道コンテナの貨物需要から貨物車交通の需要を推計するシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 21K04289
研究機関神戸大学

研究代表者

秋田 直也  神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (80304137)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2025-03-31
キーワード鉄道コンテナ集配トラック / 貨物車需要推計システム / 鉄道コンテナ貨物需要
研究実績の概要

今年度は、主として、これまで同時に把握できていなかった大阪府内の4つの貨物鉄道駅(以下、貨物駅と呼ぶ)に発着する鉄道コンテナ貨物需要と各貨物駅の利用にみられる特徴を明らかにすることができた。
まず、研究協力者から、鉄道コンテナ集配トラック(以下、鉄道トラックと呼ぶ)の配車データを新たに提供してもらった。本データは、2022年6月1日から7月31日までの2カ月間の鉄道トラックの配車実績を記録したものであるが、集荷先または配達先(以下、荷主拠点と呼ぶ)の名称や住所の表記方法が統一されていないため、データ集計の際、同じ荷主拠点であっても異なるものとして集計される問題があった。そこで、名称と住所の情報をもとに、同じ荷主拠点であるかを目視によって判定し、これらの表記方法を統一した結果、926の荷主拠点を抽出することができた。
次に、926の荷主拠点にみられる特徴をみると、「配達のみ」が行われている荷主拠点が73%と大半を占めている。また、集荷・配達の区別に関わらず、2カ月間における取り扱いコンテナ個数が10個以下、訪問回数が週2回未満、12ftコンテナのみを取り扱っている荷主拠点が76%を占めており、取り扱いコンテナ個数が多く、訪問頻度も多い荷主拠点は限られているといえる。
さらに、住所を用いて、荷主拠点を利用貨物駅ごとに地図上にプロットした。その結果、大阪貨物ターミナル駅と百済貨物ターミナル駅を利用する荷主拠点が広範囲に広がっている様子が窺える。また、必ずしも最短距離の貨物駅が利用されているとは限らず、とりわけ、安治川口駅が直線距離で最短となる429の荷主拠点のうち、86%が他の貨物駅を利用していた。そして、これら荷主拠点の多くが大阪湾沿いに立地しているため、大阪都心部を通過する鉄道トラックを発生させていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

今年度は、これまで同時に把握できていなかった大阪府内の4つの貨物鉄道駅に発着する鉄道コンテナ貨物需要と各貨物駅の利用にみられる特徴を明らかにするとともに、各荷主拠点が、必ずしも最短距離の貨物駅を利用しているとは限らないことを示唆することができた。しかし一方で、こうした状況が発生する原因を解明するまでには至っておらず、その発生要因を把握するために、新たに各荷主拠点による利用貨物駅の選択モデルなどを構築する必要があるといえる。
また、今年度から、研究協力者から新たに提供してもらった鉄道トラックの配車データを用いて分析しているが、本データをもとにした各駅を拠点とする鉄道トラックごとの1日の運行実績データベースを構築するまでには至ることができなかった。このため、構築できた荷主拠点ごと、1日ごとに集配されたコンテナ個数の実績と鉄道トラックの運行実績とのリンク付けができておらず、早急に整理する必要がある。
その一方で、既存ソフトウェアのVRPソルバーを用いた運行シミュレーションにて発生している、31ftコンテナの集配結果において、解としてふさわしくないケースがみられる問題についての解決が図られていない。
さらに、研究の進捗が遅れ、研究成果の精度を高めることができなかったことから、計画していた国内外での学会等において、研究成果を発表することができていない。
こうした状況を踏まえ、「遅れている」と判断した。

今後の研究の推進方策

まず、各荷主拠点における利用貨物駅の選択モデルを構築することで、必ずしも最短距離の貨物駅が利用されているとは限らない状況が発生する要因を把握する。また、今年度から用いている鉄道トラックの配車データをもとにした各駅を拠点とする鉄道トラックごとの1日の運行実績データベースを構築する。その際、鉄道トラックの1日の運行実績についてはデータ量が膨大であることから、分析対象とする日数を研究に必要と考える5日程度に絞って行うことで対応したい。
また同時に、既存ソフトウェアのVRPソルバーを援用した鉄道トラックの運行シミュレーションについては、まず、31ftコンテナの集配送結果において問題となっている、解としてふさわしくないケースの発生を解決する方法を検討する。さらに、これまで1つの貨物駅単位で行っていた鉄道トラックの運行シミュレーションを、大阪府内に立地する4つの貨物駅で、同時に行えるようにする方法について検討する。
そして最後に、複数の運行日を対象に、運行シミュレーションから得られる結果と実際の運行実績とを比較することで、実態にしかみられない輸送形態を明らかにするとともに、それらが生じている原因を研究協力者へのヒアリング等から把握する。
また、研究協力者とは、定期的にミーティングを行い、得られた研究結果の情報共有ならびに意見交換を行う。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、研究協力者の確保と機器の導入を行うことで、これまで持ち越されていた大阪府内に立地する4つの貨物鉄道駅に発着する鉄道コンテナ需要データの作成を、優先的に行った。このため、研究成果の精度を高めることができず、計画していた国内外での学会等での研究成果の発表ができなかった。その結果、「旅費」と「その他」で計上していた費用を使用しなかったことが、次年度使用額が生じた主な理由である。
次年度の使用計画としては、研究を遂行する上で必要となるソフトウェア保守費用と消耗品費、さらに、これまで行えていない国内外の学会等での研究成果の発表を行うための旅費と成果発表費用として使用する。また、国内外の学会等で本研究の関連資料の収集を行うための旅費と参加費、さらに現地調査を行うための旅費として使用する。

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公開日: 2024-12-25  

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