研究課題/領域番号 |
21K04291
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
中川 雅史 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (10415721)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ICT建機 / LIDAR / モデリング / 地理情報システム / 動体抽出 / 動体追跡 / 危険度予測 |
研究実績の概要 |
施工現場への3D計測や情報通信技術(ICT)の導入においては,定量的な危険の把握が必須となるが,生産性と安全性という,一見相反する条件を同時に解決する境界線を探ることで,定量的な危険予測を技術者が受容するメカニズムを明らかにする必要がある.本申請は,都市土木へのICT建機導入によって安全性と生産性を同時に高めるにあたり,①都市土木の施工空間における作業の危険度をどのように定量化できるか,②作業者と建機の協調作業での生産性と安全性をどのように評価できるか,という学術的な問いにもとづき,都市土木における施工の生産性と安全性を両立するための方法論を明らかにすることを目的とする.(A)作業の危険度を定量化するための仕組みの構築,(B)作業者と建機の協調作業での生産性と安全性の評価を通じ,提案手法が建機施工のみならず,建機との協調空間での人の行動理解がより深化できるか調査研究する.令和4年度では,(A)作業の危険度を定量化するための仕組みの構築 に関する取り組みとして,(a)マルチレイヤ空間モデルを利用した施工状況整理,(b)都市土木における従来型施工の課題と解決策の整理,(c)センサ外付けICT建機の構築,(d)作業者への新しい安全教育方法の構築 を計画した.また,(B)作業者と建機の協調作業での生産性と安全性の評価 に関する取り組みとして,(e)施工空間のモデリングによる危険予測の実証,(f)技術者を対象とした定量的危険予測の利用可能性の検証,(g)模擬施工現場および実施工現場での実証と検証,(h)危険予測へのフィードバックの検証 を計画した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度に計画した研究スケジュールは,予定どおりに実施した. (a)マルチレイヤ空間モデルを利用した施工状況整理,(b)都市土木における従来型施工の課題と解決策の整理, (c)センサ外付けICT建機の構築,および,(d)作業者への新しい安全教育方法の構築 を実施し,(A)作業の危険度を定量化するための仕組みの構築 に関する基礎的な成果を得られた.また,(e)施工空間のモデリングによる危険予測の実証,(f)技術者を対象とした定量的危険予測の利用可能性の検証, (g)模擬施工現場および実施工現場での実証と検証,および,(h)危険予測へのフィードバックの検証 を実施し,(B)作業者と建機の協調作業での生産性と安全性の評価 に関する基礎的な成果を得られた.具体的には,センサ外付け型ICT建機と作業危険度の定量化手法の構築,および,模擬施工現場での実験を実施し,この実験において,センサ外付けICT建機の構築をするとともに,構築したセンサ外付けICT建機による時系列の点群データの取得と,その計測結果を利用した施工空間のモデリングを行った.建機からの時系列の点群データの取得では,水平方向をスキャニングするLiDARと鉛直方向をスキャニングするLiDARを組み合わせたシステムを構成した.さらに,スキャニングで取得した点群データを用いた建機周辺の作業者の位置や,建機自身のバケット位置を捉えるための物体認識手法,および,処理結果のフィードバック手法を開発した.これらの研究成果としては,国際学会発表1件と国内学会発表2件がある.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では,(A)作業の危険度を定量化するための仕組みの構築 に関する取り組みとして,(a)マルチレイヤ空間モデルを利用した施工状況整理 の継続に加えて,(d)作業者への新しい安全教育方法の構築 を予定している.また,(B)作業者と建機の協調作業での生産性と安全性の評価 に関する取り組みとして,(e)施工空間のモデリングによる危険予測の実証,(f)技術者を対象とした定量的危険予測の利用可能性の検証,(g)模擬施工現場および実施工現場での実証と検証,(h)危険予測へのフィードバックの検証 の継続を予定している.本研究では,危険の予測(安全と危険の分類)に利用する機械学習のほかに,ジオフェンシングと施工空間モデリングによって,研究の独自性・創造性を高くすることを検討している.ジオフェンシングとは,空間上に設定した仮想領域に人やモノの出入りを判定し,この判定情報をきっかけに,情報や機械を能動的に制御する技術である.施工空間モデリングでは,まず施工空間を4つのモデル(地物モデル,領域モデル,動的モデル,および,危険予測モデル)で再現する.地物モデリングでは,地物の位置情報を主とした幾何モデルを扱う.領域モデリングでは,施工空間をOutdoor,Semi-outdoor,Semi-under ground,Under groundに分類し,セル空間モデルとして扱う.動的モデリングでは,地物の動きを扱う.これらのモデル間を連携し,危険予測モデリングにおいて,建機動作や作業員動作,施工による環境変化における危険度予測を扱うことを検討している.
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備考 |
現在は研究内容の全体像を示す資料を掲載しており,令和5年度の成果詳細を掲載予定です.
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