研究課題/領域番号 |
21K04294
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
鈴木 温 名城大学, 理工学部, 教授 (00356073)
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研究分担者 |
杉木 直 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30322019)
青木 俊明 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60302072)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 世帯マイクロシミュレーション / 災害ハザードエリア / 居住地選択 / 事前防災 |
研究実績の概要 |
(a) 災害ハザードと移転促進・居住誘導施策を考慮した居住意識構造分析:(a-1)移転促進・立地誘導施策オプションの検討に関して、国内外の文献レビューを行った。 (a-2) 居住地選択調査の設計・実施に関して、Webアンケート調査の調査票作成を行った。また、対象地域の選定に向けた基礎的な分析として、ハザードエリアにおける人口と事業所数のデータをGISを用いて整理し、都道府県別の経年変化を明らかにした(ヌウェイヌウェイゾー・加藤啓吾・水流風馬・鈴木温(2022))。(a-3)施策に対する意識構造分析に関して、昨年行ったプレWebアンケート調査のデータを用い、意識構造分析を行った。特に、ハザードエリアの種類による居住継続意思構造の違いや居住者のリスク認知を考慮し、共分散構造分析によって明らかにした(水流風馬・井倉祐樹・鈴木温・青木俊明(2021)、水流風馬・鈴木温・落合真由・ヌウェイヌウェイゾー(2021))。 (b) 世帯マイクロシミュレーションを用いた移転促進策の効果分析:(b-1) 世帯マイクロシミュレーション(MS)モデルの基本構造を構築した。これまで構築してきた世帯MSモデルをベースに、今後、対象地域を選定し、対象地域のデータを用い、世帯MSモデルの実装を行う。また、居住地の選択は、商業施設や公共施設、事業所等の立地に依存するため、住宅、商業施設、事業所の相互作用を考慮したエージェントベーストモデルも構築した(古田・鈴木(2021)。今後の分析において、世帯マイクロシミュレーションとこのエージェントベーストモデルを併用していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(a) 災害ハザードと移転促進・居住誘導施策を考慮した居住意識構造分析に関して、2021年度に実施するWebアンケート調査を実施するであったが、調査票の設計や対象地域の選定に予想よりも時間がかかったことから、2021年度中の実施を断念した。そのため、予定よりやや遅れていると評価した。Webアンケート調査の本調査は、2022年に実施予定だが、一昨年、別の予算でプレWebアンケート調査を実施していたため、これらのデータを用い、ハザードエリアの種類に応じた居住継続意識の構造比較を行った。 (b) 世帯マイクロシミュレーションを用いた移転促進策の効果分析に関しては、上記のWebアンケート調査(本調査)が2021年度に実施できなかったため、モデルの実装に入ることはできなかったが、これまでの研究により、世帯マイクロシミュレーションの基本構造はほぼできている。また,居住、交通、商業・公共サービスの相互関係を考慮したエージェントベーストモデルも構築でき、(b)の課題に関しては、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(a) 災害ハザードと移転促進・居住誘導施策を考慮した居住意識構造分析に関して、(a-2) 2021年度に実施できなかったWebアンケート調査を実施する。Webアンケート調査は、2021年度に行った基礎調査の結果をもとに、東北地方、中部地方、西日本等からそれぞれ複数の市町村を対象にする。また、河川および津波のハザードエリアを含む地域を対象とする。さらに、必要に応じて対象市町村のうち、1~2市町村を対象に郵送配布・回収によるアンケート調査を行う。調査の設計や実施は研究代表者である鈴木が主体的に実施するが、研究分担者の2人も調査設計に関与する。 (a-3) Web調査、郵送調査によって得られたデータをもとに、居住意識構造をモデル化する。 (b) 世帯マイクロシミュレーションを用いた移転促進策の効果分析に関して、(b-1) (a-2)の調査で得られたデータを世帯MSモデルに反映する。(b-2) (b-1)で構築した世帯MSモデルを用いて、移転促進・居住誘導施策の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に実施を予定していた災害ハザードエリアを含む市町村を対象としたWeb調査が実施できなかったため、実施予算を2022年度に繰り越し、2022年度にWebアンケート調査を実施する予定である。一方、新型コロナウィルスの影響で予定していた学会発表や仙台出張がキャンセルになり、その分、予算からの減額が生じた。2022年度も、すでに学会のオンライン実施が決定しているものもあり、その影響も考慮する必要がある。出張の中止等で予定額が執行できない場合は、研究を補強するデータや書籍の購入等で執行する予定である。
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