研究課題/領域番号 |
21K04295
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研究機関 | 群馬工業高等専門学校 |
研究代表者 |
鈴木 一史 群馬工業高等専門学校, 環境都市工学科, 准教授 (90529041)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 横断歩道 / 歩行者 / バーチャルリアリティ / 道路構造 / 歩行者心理 / 二段階横断 / 交通島 |
研究実績の概要 |
本年度は,歩行型バーチャルリアリティ(VR)を用いた被験者20名による室内横断実験を実施し,利用者にとって不安感の少ない二段階横断施設の構造について評価を行った.具体的にはVRを用いて交通島を有する二段階横断方式を仮想空間内に再現し被験者に横断してもらうことで,交通島の構造条件(幅や形状,防護設備の有無や種類等),道路交通条件(交通量,大型車混入率)が横断歩行者の横断挙動や交通島滞留時の心的負担に及ぼす影響要因を順序ロジットモデルにより抽出した.その結果,交通島待機中の不安感は,交通島幅,交通量,大型車混入率によって影響されることが明らかとなり,交通島の防護設備では,コンクリートバリア>縁石・ガードパイプ>ボラードの順に交通島待機中の不安感の低減効果が高いことが明らかとなった.また,これら知見に基づき,大型車混入率や交通量等の道路交通条件に応じて,横断歩行者の不安感を低減させる交通島の設計要件に関する知見を得るためのケーススタディを行った.その結果,二段階横断施設の設置対象となる道路の交通条件等に応じて,交通島の設計条件を変更した際の横断者の不安感を定量的に評価可能になるとともに,道路構造に制約がある条件下で,横断歩行者の不安感を一定レベルに抑制するために必要な交通島の設計要件に関する有用な知見を得ることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歩行型バーチャルリアリティ実験に基づき,交通島上での横断待機時の歩行者不安感の評価モデルの構築が完了することで,歩行者側からの評価については当初の予定通りの進捗となった.一方で,研究代表者の異動に伴い,本年度後半に予定していたドライビングシミュレータ実験の実施が困難となったため,車両側からの評価については研究の進捗に遅れが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の異動に伴い,研究環境を新たに整備する必要がある.ドライビングシミュレータ実験に着手できるよう,実験環境を速やかに整備した上で被験者実験を行い,横断施設構造の違い,対向車の一時停止の有無,横断待ち位置等を考慮したドライバーの譲り判断モデルを構築する予定である.さらに,ここで構築された車両の譲り判断モデル,過年度に構築された歩行者の横断判断モデルをそれぞれ組み込んだミクロ交通シミュレータを開発し,横断施設ごとに車両・歩行者の交通量分布,車両速度を変化させたときの感度分析を行い,安全・円滑・快適性の観点から望ましい歩行者横断施設の設置要件を明らかにしたい.
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