研究課題/領域番号 |
21K04298
|
研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
高橋 清 北見工業大学, 工学部, 教授 (50236270)
|
研究分担者 |
萩原 亨 北海道大学, 工学研究院, 教授 (60172839)
富山 和也 北見工業大学, 工学部, 准教授 (70589580)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 自転車走行環境 / 乗り心地評価 |
研究実績の概要 |
近年、環境に対する意識の向上や、特に2020年春より感染が拡大したCOVID-19のリスク回避のため、自転車利用は都市内の移動において重要な交通手段として世界中で増加している。自転車交通の需要が高まる中、安全性や快適性を考慮した自転車走行空間の創出は極めて重要な課題である。しかし、自転車走行が想定されている車道左側端部分は十分な整備状況であるとは言い難い。自転車の車種多様化が予想される中、安全・快適な走行を可能とするため、客観的データに基づく路面評価と走行空間評価を行い、走行データの収集と可視化された走行環境情報をリアルタイムに提供することが必要となる。そこで本研究では、当研究グループで開発した自転車振動モデルを基に、多様な自転車の車種を評価できる振動モデルおよび指標を構築し、さらに評価指標にプローブバイシクルデータを適用することで走行環境情報を可視化し、リアルタイムに情報提供するシステムを構築する。 当該年度は、自転車振動モデルの汎用性向上を目指し、研究を実施した。クロスバイク以外の車種として、シティサイクルやロードバイク、さらには電動アシストを搭載したE-bikeなど様々な車種が存在し、それぞれ乗車姿勢や質量が異なり、加えて自転車の利用目的や乗り心地に影響する振動感受性も多様である。そこで、各自転車の振動特性を把握し、多様な車種の振動特性および、様々なサイクリストの属性等を考慮した振動モデルを開発し、多様な自転車の評価を可能とする汎用的な指標の構築を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究進捗状況は、おおむね順調に進んでいる。 本研究では多様な車種に評価対象を拡大可能な汎用性のある振動モデルの開発を目的としている。研究では、車種の振動特性を明らかにするため振動台により自転車の加振実験を行い、車種の特性分析を行った。分析の結果、車種毎の周波数応答関数より、振動モデルを2自由度として仮定することが妥当であるとの結論を得た。また構築されたモデルの再現性についてコヒーレンス関数を用いて検証した結果、実験に用いた全ての車種においても共振域をもつ範囲で0.8以上の高い相関となり、モデルの再現性が高いことが検証された。さらに、構築されたモデルによるBRIと乗り心地主観評価の相関も高く、開発した振動モデルに基づく路面評価指標であるBRIを実路面に対して用いることの妥当性が示されたと考えられる。本成果は論文として発表済みである。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は以下のテーマに沿って研究を推進する計画である。 令和3年度では、自転車振動モデルの汎用性向上について、クロスバイク以外の車種として、シティサイクルやロードバイク、さらには電動アシストを搭載したE-bikeなど様々な車種の振動特性を把握し、多様な車種の振動特性および、様々なサイクリストの属性等を考慮した振動モデルを開発し、多様な自転車の評価を可能とする汎用的な指標の構築を行った。令和4年度以降は、実路面の調査から多様な路面性状に対するBRIの実態を把握する。これにより、路面性状とBRIの関係性を示したBRIの評価スケールを構築する。また、自転車の走行は、進行方向に対して横方向の運動が大きいことを考慮し、自転車からみた路面評価は従来の一側線上の評価ではなく、面的な評価が有効であると考えられる。そのため、路面プロファイルや周辺構造物を3次元の点群データで取得可能なMMS(Mobile Mapping System)の有用性について検討し、MMSの面的なデータを用いた路面評価システムを構築する。さらに令和5年度以降は、プローブバイシクルを用いた評価値の可視化システムの構築するため、a)総合的な走行空間の評価とb)リアルタイムデータを用いた評価値の可視化システムの構築を行い、得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品購入代金が当初の予算より高額となり、来年度の予算と合算し、物品の購入を計画している。
|