研究課題/領域番号 |
21K04307
|
研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
井ノ口 弘昭 関西大学, 環境都市工学部, 准教授 (10340655)
|
研究分担者 |
秋山 孝正 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (70159341)
尹 禮分 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (10325326)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | マルチエージェントシミュレータ / 交通手段 / 超小型モビリティ / 電動キックボード / BRT |
研究実績の概要 |
交通機関の多様化が進展し、公共交通ではLRT・BRT・連節バスなど、自動車交通ではEV・超小型モビリティなど、パーソナルモビリティでは電動キックボードなどが観測される。本年度は、これらの中で、主に超小型モビリティ・BRT・電動キックボードに着目し、走行特性の分析・利用可能性の検討を行った。 電動キックボードは、2022年4月19日に道路交通法の改正案が衆議院で可決され、「特定小型原動機付自転車」として位置付けられる予定である。本年度は、大阪市内で実施されているシェアリングサービス実証実験の車両を用いた調査を行った。安全に利用するためには、自転車通行帯の整備および通行帯上の路上駐車の排除が必要である。また、アンケート調査結果からは、電動キックボードのシェアリングはシェアサイクルと比べると利用可能性は低い結果となった。 BRTは、大阪市内で運行されている「いまざとライナー」について分析を行った。パーソントリップ調査結果・アンケート調査結果から、いまざとライナーの利用可能性を検討した。また、GPSを用いて走行状態を分析し、改善点の検討を行った。 超小型モビリティについては、環境負荷量の検討などを行った。道路交通センサスの調査結果では、乗車人数が1人の移動が多数あり、小型車両の利用可能性が示された。また、超小型モビリティは電気自動車であるが、発電方法により環境負荷量は大きく相違する。このため、電気自動車の普及には、環境負荷量の少ない発電方法が必要である。 今後は、これらの各種交通機関の検討結果を基に、MAS(マルチエージェントシミュレータ)を構築し、各種交通機関の組み合わせの検討を行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の研究は概ね順調に達成できた。しかしながら、当初計画していた超小型モビリティの高齢運転者を含めた走行調査については、新型コロナウイルス感染症の影響で本年度は実施できなかった。新型コロナウイルス感染症の終息後に実施したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度以降は、主に①知的情報処理を用いた交通機関選択モデルの構築、②マルチエージェントシステムの構築、③効果的な都市交通政策の組み合わせの検討の順に行っていく予定である。①では、知的情報処理手法を用いて、自動車・公共交通の他に、徒歩・自転車・超小型モビリティを含めた交通機関選択モデルを構築する。②では、交通手段選択などを行うマルチエージェントモデルを構築する。交通行動者をエージェントとし、交通機関選択、車両選択などに関して周辺の交通行動者の影響を踏まえたモデル化を行う。具体的には、交通行動モデル、道路交通運用モデル、車両選択モデル、政策評価モデルで構成される。このとき、交通機関・利用車種のシェアなどに関する観測の他に、創発現象を観測するため、交通行動に関する視覚的表現を充実させる。③では、構築したマルチエージェントシステムを用いて、各種の検討を行う。このとき、交通機関、利用車種のシェア、環境負荷量に関して主に着目する。複数の交通政策の組み合わせを検討し、効果的な都市交通政策の組み合わせを発見する。 最終的に、地域の状況に合わせた自転車・歩行環境の整備などのハード整備とともに、利用促進策などのソフト的政策を含めた将来的に望ましい都市交通システムの組み合わせに関して、時間経過を踏まえて提案する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施予定であった超小型モビリティの高齢運転者を含めた走行調査は、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった。このため、走行調査に必要な費用が執行できなかった。走行調査は、新型コロナウイルス感染症の終息後に実施する計画である。
|