研究課題/領域番号 |
21K04310
|
研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
荏原 太 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (90424647)
|
研究分担者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究室長 (40335443)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 交通工学 / 交通事故 / ウェアラブルデバイス / 睡眠時無呼吸症候群 / 両立支援 / 健康経営 / ゲーミフィケーション / IoT |
研究実績の概要 |
具体的内容 事業者およびドライバーへのヒアリングを行いウェアラブルデバイスの選定とデータ取得のためのアプリを作成し、学会で発表した。2年目に計画したCPAP治療中のドライバーへの行動科学的効用の調査を多施設研究で行うため研究説明を行ったところ、睡眠データが雇用者側に通知され個人への不利益とならないよう求められたためプログラムを変更した。データ収集の匿名性と行動変容を促すための双方向性およびグループダイナミズムを担保しながら3年目のパイロットスタディの準備を行った 意義 ヒアリング調査から、運行への意識・権威勾配・深夜運行と職務内容・時間帯の違いにより事故予防の取り組み姿勢はドライバー毎に異なることが判明した。他の車両運転業務と比較すると、接客や車内事故防止、気象や渋滞など予測困難で刻々と変化する状況への判断を一人で行うことで心理的ストレス・安全管理の重要性がバスドライバーでは高い。事故を起こした際の被害人数も多く社会的影響も大きい。しかし、睡眠関連の乗車前チェックは自己申告のみである。居眠り運転リスク軽減のデバイスやデジタルタコグラフなど運転内容に対する事後評価システムは整備されているが、睡眠やストレスの影響を数値化し乗車前に注意喚起できるシステムは皆無であった。また運転中のスマートフォン操作は道路交通法で禁止されているため、運転中のストレスを計測し、休息によるリカバリー状況をデータに基づいて提示可能なのは現在ウェアラブルデバイスのみである。本研究はこの条件を満たした初めての研究プログラムである。 重要性 2年間の研究により、本人のデータ入力とフィードバック方法、薬剤の服薬アドヒアランスのチェックやアドバイス機能など、職域や本人の要望に合わせ最適化されたプログラムの提供が可能となった。3年目は安全行動に有用なのか評価し、社会実装と多施設研究のための基礎データとする
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目にヒアリングした複数の施設や他職種と比較したバスドライバーの睡眠内容とそのリテラシーの状況から、2年目に個別化・最適化を目指してプログラムの柔軟性を高めた。3つのテーマごとにドライバー個人や職域に応じて個別化対応が可能となった。①ウェアラブルデバイスの機器選定(記録方法と評価方法とアプリの特性ごとにリスト化し、現在使用するウェアラブルデバイスとアプリの選定を組み合わせることにより新たな投資を行わなくても行動変容が可能な方法を提示することが可能)②ゲーミフィケーション理論にもとづいた本人に対する複数のフィードバックプログラムの提供(即時フィードバックでシンプルであること数値化と双方向性など必要に応じて個人ごとの最適化)③結果利用(個人で行うのか両立支援で使うのか匿名化し職域の安全ミーテイングに使うのかなど) これらは次の学会等で発信を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
本年度は、もう一度基本プログラムがプログラム非利用者と比較し効果があるか検証し、社会実装および他施設研究に対し最適なプログラムが提供できるよう確認し、新規性と予算的に余裕があれば特許申請を行う。そしてこの3年目の研究データを学会発表・論文化することにより下記の3つのテーマを今後進めていく基礎データとして提示する。 「ドライバーが万一事故を起こしたとき事前の安全行動を正しく公平に記録、可視化することにより、安全行動に対して直前まで留意していいたことを証明し守る」「両立支援として睡眠リテラシーの重要性をアピールする基礎資料とするだけでなく主治医との連携によりよりタイムリーできめ細かなアドバイスができるようにする」「行動変容を促すよりシンプルなプログラムを開発する」
|
次年度使用額が生じた理由 |
新しいウェアラブルデバイスの発売が、戦争などによる資源不足のため遅れた
|