研究課題/領域番号 |
21K04312
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
布浦 鉄兵 東京大学, 環境安全研究センター, 准教授 (40444070)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | オスミウム / 超臨界流体 / 廃棄物処理 |
研究実績の概要 |
本研究は、極めて高い毒性を持つにもかかわらず世界的に無害化処理技術の確立されていないオスミウム含有廃棄物について、超臨界水及び超臨界二酸化炭素を複合利用した新規オスミウム除去・回収プロセスを開発することが目的である。 (A)オスミウム廃液・廃固体の超臨界水酸化挙動の検討:耐腐食性の高いSUS316製配管にて流通式実験装置を作製し検討を行った。2台の高精度ポンプによってオスミウム溶液試料と過酸化水素水を所定流量で圧送し、それぞれ予熱部で設定温度まで昇温したのち反応器入口部で混合し超臨界水酸化反応に供した。所定滞留時間で反応後、流出液を冷却・減圧して気相・液相をそれぞれ回収し分析した。また、オスミウム含有固体試料に関する検討では、試料を充填した反応部に超臨界水と酸素を流通させる半回分式装置を用いて検討した。供試する水溶液試料としては、一般的なオスミウム廃液で見られるオスミウム化合物を用い、代表的な共存物質を反応系に加えてその影響を測定した。固体試料としてはオスミウム付着プラスチックを機械粉砕したものを用いた。これまでの検討により各種共存物質が存在する系でのオスミウム化合物の反応挙動を明らかにした。 (B)四酸化オスミウムの超臨界二酸化炭素抽出・回収挙動の検討:SUS316製配管で作製した抽出器に四酸化オスミウム水溶液を封入し、所定の温度・圧力まで上昇させたのち送液ポンプで超臨界二酸化炭素を所定流量で流通させ抽出実験を行った。抽出器から流出する二酸化炭素は減圧して回収器を通過させ、抽出されたオスミウムを捕捉した。工程中及び工程後に抽出器内と回収器内のオスミウム量を分析し抽出率と回収率を測定した。抽出器内の水溶液中のpHや共存物質の影響を検討し、回収器部についても吸収液種や温度などの設定条件の影響を測定した。これまでの検討により各種反応条件による抽出挙動への影響を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウィルス感染状況の拡大により大学内での研究活動が一部制限され多少の遅れが生じたが、おおむね当初の研究計画に沿って順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は以下の計画に沿って研究を推進する。 (A) オスミウム廃液・廃固体の超臨界水酸化挙動の検討:前年度と同様の実験装置を用いて検討を行う。特に固体試料の反応挙動について重点的に検討を行う。固体試料の作成に当たってはこれまで機械粉砕を用いているが、その操作条件により固体試料の粒度等の性状が異なるため反応挙動検討におけるバイアスの発生が危惧される。そのため、粉砕条件の影響について検討するほか、他の前処理手法の採用も検討する。また、廃液試料についてはさらに他の代表的な共存物質の影響について検討するほか、模擬廃液試料を作成して検討を行う。 (B) 四酸化オスミウムの超臨界二酸化炭素抽出・回収挙動の検討:前年度と同様の実験装置を用いて検討を行う。試料としては、(A)の検討での超臨界水酸化処理液を用いて測定を行うほか、固体試料を直接抽出工程に供する実験も行い、廃固体からのオスミウム抽出挙動に関する検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予算計画に沿って物品購入等を行ったが、高圧配管部品(消耗品)をまとめて購入することにより送料を一部低減することができ、763円の次年度使用額が生じた。次年度においても、無駄が生じないよう注意を払いつつ、この次年度使用額と合わせて予算を計画的に執行する。
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