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2021 年度 実施状況報告書

火山ガスの広域輸送と中部山岳域における硫酸エアロゾル生成量および水銀の動態解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K04319
研究機関富山県立大学

研究代表者

渡辺 幸一  富山県立大学, 工学部, 教授 (70352789)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード二酸化硫黄 / 酸化剤 / 火山 / 水銀 / 立山 / ヘリコプター / 山間部 / エアロゾル
研究実績の概要

富山県立大学内(富山県射水市)および富山県小矢部市の中山間部において、微量気体成分およびエアロゾル粒子の観測を、また、夏季から秋季の立山・室堂平(標高2450m)においてパッシブサンプラーにより霧水の採取・分析を行った。2021年春季は大規模な黄砂現象の影響が度々観測されたが、アジア大陸からの人為由来汚染の影響は比較的小さかった。中国の大気汚染の改善が進んでいるためと考えられる。また、エアロゾル粒子個数濃度の測定結果から、桜島あるいは諏訪之瀬島の噴煙由来の影響と考えられる濃度増加も観測された。
立山・室堂平の霧水の酸性度や硫酸イオン濃度は、2010年以前と比べ大幅に低かったが、硝酸イオン濃度が上昇傾向であった。桜島(あるいは諏訪之瀬島)由来の影響と考えられる硫酸イオン濃度比の増加も観測された。
2021年9月23日に小型ヘリコプター(R44型ヘリコプター)を利用した射水市上空の大気観測を実施した。当日は越境汚染の影響により微小粒子個数濃度やオゾン濃度が比較的高かったが、二酸化硫黄は低濃度であった。過酸化水素濃度は、(これまでの寒候期での観測結果とは逆に)二酸化硫黄濃度よりも高く、二酸化硫黄の液相での酸化剤が十分に存在していたと考えられる。ホルムアルデヒド濃度は地上で高く上空で低かった。また、ガス状水銀はバックグランド濃度程度であった。なお、このときのヘリコプター観測では火山噴煙由来の影響はみられなかった。
西之島由来の火山噴煙の影響を受けた観測結果について詳しく解析し、学会発表および学術論文への投稿を行った(学術雑誌に掲載されている)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19の影響により、立山での観測が制限されることとなった(電源の確保ができなかった)。また、予定していた乗鞍岳での観測が宇宙線観測所が閉所となったため実施できなかった。また、桜島の火山活動が比較的不活発であったことなどから、顕著な火山噴煙の影響を捉えることができなかった。ただし、以前に観測した火山由来の影響について詳しく検討し、学術論文の投稿を行うことができた。

今後の研究の推進方策

2022年度についても昨年度と同様の観測を継続して行う。立山においては、霧水・降水の採取・分析だけでなく、電源の確保を行い、微量気体成分やエアロゾル粒子の計測を行う。可能な限り、乗鞍岳においても集中観測を行う予定である。また、特に火山噴煙の影響が懸念される事例についてヘリコプターを利用した上空大気観測を行い、二酸化硫黄とその酸化剤、水銀、エアロゾル粒子などの動態について高度別に詳しく評価する。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響により、予定していた観測が大きく制限されたため。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Volcanic Impact of Nishinoshima Eruptions in Summer 2020 on the Atmosphere over Central Japan: Results from Airborne Measurements of Aerosol and Trace Gases2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, K, Yang, L., Nakamura, S., Otani, T., Mori, K.
    • 雑誌名

      SOLA

      巻: 17 ページ: 109-112

    • DOI

      10.2151/sola. 2021-017

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 2020年夏季の西之島噴火活動による北陸地方の大気環境への影響:上空のエアロゾル粒子および微量気体成分の計測2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 楊柳, 中村賢, 大谷拓也, 森絢三朗, 荒木幸洋, 加藤咲
    • 学会等名
      日本気象学会2021年度春季大会
  • [学会発表] 寒候期の富山県上空における過酸化水素およびホルムアルデヒド濃度の測定2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 楊柳, 姫玖玖, 中村賢, 大谷拓也, 森絢三朗
    • 学会等名
      2021年度北信越支部総会および研究発表会・製品発表検討会
  • [学会発表] 植物園林内におけるリアルタイム浮遊菌カウンタによる微生物粒子の計測2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 牧輝弥,保坂健太郎, 北和之,五十嵐康人
    • 学会等名
      第 38 回エアロゾル科学・技術研究討論会
  • [学会発表] 北陸地方における上空大気中の過酸化水素およびホルムアルデヒド濃度の測定(Ⅱ)2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 楊柳, 中村賢, 大谷卓也, 長村遥, 増田竜之
    • 学会等名
      日本地球化学会第68回年会
  • [学会発表] Measurements of hydrogen peroxide and formaldehyde concentrations over Toyama Prefecture in central Japan2021

    • 著者名/発表者名
      Watanabe, K, Yang, L., Nakamura, S., Otani, T., Mori, K.
    • 学会等名
      16th IGAC Conference, Atmospheric Chemistry from a Distance: Real Progress through Virtual Interaction
    • 国際学会
  • [学会発表] 富山県上空における過酸化水素およびホルムアルデヒド濃度の測定2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 楊柳, 姫玖玖, 中村賢, 大谷卓也, 長村遥, 増田竜之
    • 学会等名
      雪氷研究大会(2021・千葉-オンライン)
  • [学会発表] 富山県における地上および上空の過酸化水素とホルムアルデヒド濃度の測定(Ⅲ)2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 楊柳, 姫玖玖, 中村賢, 大谷拓也, 長村遥, 増田竜之
    • 学会等名
      第62回大気環境学会年会
  • [学会発表] 立山における霧水・降水の化学成分の特徴:火山噴煙由来の影響について2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 森絢三郎, 荒木幸洋, 加藤咲
    • 学会等名
      第62回大気環境学会年会
  • [学会発表] ヘリコプターを利用した富山県上空の過酸化水素およびホルムアルデヒド濃度の測定2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一, 楊柳, 中村賢, 大谷卓也, 長村遥, 増田竜之, 千村勘二, 森藤孝太郎, 中澤暦
    • 学会等名
      第26回大気化学討論会
  • [学会発表] ヘリコプターを利用した富山県上空の大気観測ー微量気体成分とエアロゾル粒子個数濃度の測定ー2021

    • 著者名/発表者名
      渡辺幸一
    • 学会等名
      2021年度「航空機観測による気候・地球システム科学研究の推進」研究集会

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公開日: 2022-12-28  

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