研究課題
富山県立大学内(富山県射水市)および富山県小矢部市の中山間部において、微量気体成分およびエアロゾル粒子の観測を、また、夏季から秋季の立山・室堂平(標高2450m)においてパッシブサンプラーにより霧水の採取・分析を行った。2022年および2023年夏季においても乗鞍岳宇宙線観測所(標高2770m)においても霧水・降水の観測を行った。2023年はアジア大陸からの人為由来汚染だけでなく土壌由来の影響も大きかった。なお、2023年は桜島など九州地方の火山噴煙の影響は小さかった。立山・室堂平における霧水の酸性度や硫酸イオン濃度は、2010年以前と比べ大幅に低かったが、2021年以降、硝酸イオン濃度が占める割合が高くなる傾向がみられた。2022年および2023年夏季の乗鞍岳で採取した霧水試料中の硫酸イオン濃度は、2000年以前よりも大きく低下していた。主に日本国内の大気汚染が軽減されたためと考えられる。融雪期の室堂周辺の表層雪試料を未濾過で冷蔵保存中に、硫酸が多量に生成する現象がみられた。また、水銀濃度が非常高く、融雪期の表層雪中に粒子状水銀が濃縮していることが確認された。弥陀ヶ原火山の影響を大きく受けているものと考えられる。2023年6月25日に小型ヘリコプターを利用した射水市上空の大気観測を実施した。当日は大気の状態が比較的清浄であった。過酸化水素濃度は、二酸化硫黄濃度よりも十分に高く、二酸化硫黄の液相での酸化能力が非常に高かったものと考えられる。ガス状水銀はバックグランド濃度程度であった。2022年以前に実施したヘリコプター観測の結果と比較した。過去に実施したヘリコプター観測や微小粒子中の化学成分の観測結果について、越境汚染や火山噴煙の影響を受けたデータの特徴について詳しく解析し、学術論文への投稿を行った。
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Aerosol and Air Quality Research
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