本研究では、研究目的を遂行するため、大きく以下の5項目に分類して、波動音響理論に基づく交通騒音評価システムの構築を行っなった。 1)GIS/BIM/CIMによるデジタル都市作成システムの構築(担当:樫山)、2)マルチスケール理論に基づく波動音響解析手法の構築(担当:吉川、樫山)、3)マルチフィジックス波動音響解析手法の構築(担当:樫山、吉川)、4)VR技術を用いた騒音評価可聴化システムの構築(担当:樫山)、5)システムの適用と評価・改良(担当:樫山、吉川) 最終年にあたる令和5年度においては、令和4年度に引き続き、2)マルチスケール理論に基づく波動音響解析手法の構築、について検討を行うとともに、最終年度のまとめとして、5)システムの適用と評価・改良について検討を行った.具体的には、2)において、吸音材のマクロ構造の考慮にはZwikker-Kosten モデルを用い、ミクロ構造の考慮には均質化の導入を行った。また、5)システムの適用と評価・改良においては、大規模計算が高効率に解析可能とするために、新たな領域分割法の導入を行った。そして、複数車種の対面交通走行が可能となるように、インパルス応答に対して時変畳み込み演算手法を導入して、移動問題を正しく計算・評価できることを実測結果との比較のもとに確認した。さらに、今後の展開として、提案手法に対してポロジー導関数を用いた遮音壁の最適設計への適用を試みて、その有効性について考察した。
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