研究課題/領域番号 |
21K04326
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研究機関 | 福島工業高等専門学校 |
研究代表者 |
高荒 智子 福島工業高等専門学校, 都市システム工学科, 准教授 (80455112)
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研究分担者 |
渡部 徹 山形大学, 農学部, 教授 (10302192)
西山 正晃 山形大学, 農学部, 准教授 (10802928)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 緩速ろ過 / LED / 生物ろ過膜 / 覆蓋 / 藻類 |
研究実績の概要 |
本研究では、緩速ろ過池の安全性の強化と維持管理軽減のためのLED装備覆蓋緩速ろ過の技術に取り組んでいる。これまでのところ、青色LEDの照射によって、珪藻類Melosiraを優占種とした生物ろ過膜の形成を確認した。Melosiraの存在割合の高い生物ろ過膜は、その濁質補足機能によってろ過継続時間の延命に寄与することが示された。一方、Melosiraであっても過剰な増殖はろ過閉塞を招く。ろ過継続に適当な細胞密度を維持するため、青色LED常時照射を12時間のサイクルで明暗を繰り返す結果が得られた。 生物ろ過膜中の細菌叢解析および一般細菌類測定の双方において、ろ層表面に細菌が多く存在していることが確認された。調査より、砂層の表層20 mm以内に存在する一般細菌数のうち、60%が表層5 mm中に存在していた。緩速ろ過池における細菌類は、有機物の分解などの処理に寄与する場合がある。緩速ろ過池に青色LEDを照射した場合、これら一般細菌への影響が懸念される。そこで,青色LEDが細菌類への生存に与える影響を把握するために,実際の緩速ろ過池の生物ろ過膜に生息している細菌類を用いて,細菌類に対する青色LEDの生存に対する影響を室内培養によって検討した.実験の結果、青色LED(130μmol/m2・s)を72時間照射した条件における細菌数は、初期の数より20%減少し、この減少率は蛍光灯の条件よりも高かった.青色光は紫外光に近い光でありエネルギーも強いことから,光合成生物の光化学系Ⅱ複合体への阻害が報告されている.砂層表面に青色LED光を照射することは、生物ろ過膜中の藻類の増殖にはプラスである一方で、細菌類にはマイナスの効果があることが示された。細菌類への影響は有機物分解能力の低下によって処理水の水質の低下につながる場合も考えられる.細菌類に影響を与えない青色LEDの照射方法が課題とされた.
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