• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2022 年度 実施状況報告書

降雨に伴う劣化したアスベスト含有スレート屋根材からのアスベスト飛散実態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K04331
研究機関大阪市立環境科学研究センター

研究代表者

板野 泰之  大阪市立環境科学研究センター, その他部局等, 研究主任 (50332432)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードアスベスト / 非飛散性建材 / スレート波板 / 劣化
研究実績の概要

著しく劣化したスレート波板小片の下部および周囲に黒色フェルト布を配し、スレート片上部約90cmより雨滴を模した水滴を滴下することで、水滴の衝突に伴う表面からのアスベスト飛散の有無を調べた。その結果、スレート小片下部のフェルト布のみならず側面のフェルト布にもアスベストの付着が確認された。このことから、雨滴がスレート板に衝突する際に表面からアスベストが剥離しうること、剥離したアスベストは流水によって流出するのみならず直接周囲に飛散しうることが確認された。
次に、劣化度の異なるスレート波板小片を用いた屋外にて暴露し、飛散した粒子を黒色フェルト布で捕捉することでアスベスト飛散の有無および劣化度の違いによる飛散量の差の有無を確認した。その結果、劣化度の違いによらずアスベストの飛散が確認されたものの、著しく劣化したスレート小片においてより多くのアスベストの飛散が確認された。このことから、降雨によるアスベストの剥離は劣化度によって大きく異なることが示唆された。
実際にアスベスト含有スレート波板が使用されている農機倉庫において調査を行った。防虫網を利用したサンプラを作成して屋根端に取り付け、降雨によって飛散するアスベストの捕集を試みた。また、ロール状の防虫網を雨樋に挿入することで、流水中のアスベストの捕集も試みた。更に、当該農機具倉庫周辺の堆積物も採取し、アスベストの混入の有無を調べた。3か月間の暴露後に回収した雨樋に設置した防虫網には夥しい量のアスベストが付着しており、相当数のアスベストが流出していることが示唆された。また屋根端のサンプラにも夥しい数のアスベストの付着が確認された。更に、周辺の堆積物からもアスベストが検出された。これらのアスベストは他の粒子やセメント基材の付着がないものが多く、乾燥後の再飛散が懸念される形態であった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

社会的にも大きな影響を及ぼしうる内容であり慎重に進めざるを得ないことから、調査対象施設が限られており実地調査が遅れている。また、円安の影響により購入予定であった硬度測定器の購入ができておらず、別の測定器の利用可能性を検討している。

今後の研究の推進方策

スレート波板の劣化度の定量化手法確立を目指す。一般に、スレート波板は風雨に暴露される面は著しく劣化するが、その裏面は健全であることが多い。また、劣化面の表層はセメントが溶脱しているため健全な面よりも硬度が低いことが予想される。これらに着目し、反発式硬度計を用いて表裏面の高度を計測し、その比率で劣化度を評価することを考えている。
アスベスト飛散の抑制手法として、表面塗装の効果を検証する。農機具倉庫の屋根の半面に塗装を施し、未施工面とともにサンプラを設置して降雨により飛散するアスベストを捕集する。その比較から、塗装の効果を評価する。
降雨によって飛散したアスベストの「再飛散性」を検証する。降雨により飛散したアスベストがそのまま空気中に浮遊する可能性は低いと考えられるが、乾燥後の摂動によって再飛散する可能性がある。これを検証するため、これまでの調査で収集した堆積物などを用い、簡単な摂動によってアスベストが気中に飛散するかどうかを調べる。

次年度使用額が生じた理由

円安の影響により当初購入予定であった備品(硬度計)が購入できていないことに加え、新型コロナウイルス感染症の影響で現地調査の実施が制限されたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 劣化したスレート波板からのアスベスト飛散実態について2022

    • 著者名/発表者名
      板野 泰之, 酒井 護, 中尾 賢志, 花田 拓也
    • 学会等名
      第63回大気環境学会年会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi