本研究は、津波や大雨などにより浸水した状態で地震が発生するという複合災害を対象とし、水没した状態の建物の地震時挙動に焦点を当て、浸水の程度によって建物挙動の変化について解析的検討と実験的実証を行った。検討対象建物は基礎免震建物とし、免震ピットに流体が滞留している状態で長時間長周期地震動が作用することを想定した。滞留した流体は地震入力による慣性力に加えて、免震基礎スラブが動くことによっても流体の波高変化が生じることを実験的に実証した。さらに、流体-構造連成振動解析により免震クリアランスや浸水深によっては水没した状態の免震建物の免震性能は低下し、上部構造の加速度が増大することを明らかにした。
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