研究課題/領域番号 |
21K04360
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
秦 一平 日本大学, 理工学部, 教授 (50548039)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 免震構造 / M-CK型システム / 風荷重 / 時刻歴応答解析 / CFD解析 / 繰返し依存性 / 微小振幅応答 |
研究実績の概要 |
M-CK型システムを用いた超高層免震建物を実現するためには、「地震応答」と「風応答」の耐震性及び耐風性を検証する必要がある。「地震応答」では、高次振動モードへの高減衰化の適用範囲の検証と長時間の繰返し性能。「風応答」では、暴風時における超高層免震モデル耐風性能の検証。以上の検証が必要となることから、令和3年度の研究成果に引き続き令和4年度では以下の計画を実施した。 令和4年度の研究計画では、M-CK型システムの風の課題で重要となる繰返し依存性の影響を評価するため、風洞実験を計画していた。特に、ランク3の極めて稀な暴風を対象として風力時刻歴波形を風洞実験により作成し、時刻歴応答解析を行うことで、提案システムの超高層免震の風応答に対する効果について検証する計画であった。しかし、風洞模型の作成費用が研究予算を超えてしまったため、模型を製作することが不可能となった。そのため、CFD解析による風荷重時刻歴波形を作成することに変更した。 購入したCFD解析ソフトより、対象となる建物モデルの風荷重時刻歴波形を作成し、時刻歴応答解析をおこなった。免震層に配置したデバイスで風応答に対しては、免震部材である積層ゴムの繰返し依存性の影響があるが、提案システムでは、ランク3の風荷重では十分な効果が得られることを確認した。また、ランクが小さい領域ではシステムの摩擦特性を考慮すると免震層が変形しないことを確認した。 次年度では、解析結果を確認するために「地震応答」と「風応答」で得られた成果を反映したM-CK型システムの実スケールモデル(もしくは、縮小モデル)を作成し、長時間の繰返し性能による影響の解析結果との整合を検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度では、「地震応答」に着目し、M-CK型システムを免震層に配置した場合の高次モードへの減衰効果を検証し、効果があることを確認した。その結果をふまえて、令和4年度では、高次モードへの減衰付与を推定する予測式を作成した。 令和4年度では、M-CK型システムの風の課題で重要となる繰返し依存性の影響を評価するため、風洞実験を計画していた。特に、ランク3の極めて稀な暴風を対象として風力時刻歴波形を風洞実験により作成し、時刻歴応答解析を行うことで、提案システムの超高層免震の風応答に対する効果について検証する計画であった。しかし、風洞模型の作成費用が研究予算を超えてしまったため、模型を製作することが不可能となった。そのため、CFD解析による風荷重時刻歴波形を作成することに変更した。購入したCFD解析ソフトより、対象となる建物モデルの風荷重時刻歴波形を作成し、時刻歴応答解析をおこなった。免震層に配置したデバイスで風応答に対しては、免震部材である積層ゴムの繰返し依存性の影響があるが、提案システムでは、ランク3の風荷重では十分な効果が得られることを確認した。また、ランクが小さい領域ではシステムの摩擦特性を考慮すると免震層が変形しないことを確認した。CFD解析ソフトを購入したことにより、さまざまな形態の建物に対しての風荷重時刻歴波形が可能となったため、形態の違いによる風荷重の影響を随時、検討することとした。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度では、「地震応答」と「風応答」で得られた成果を反映したM-CK型システムの実スケールモデル(もしくは,縮小モデル)を作成し、長時間の繰返し性能による特性を把握する。提案システムの繰返し性能を検討するためには、対象となる免震建物モデルを検討し、長周期長時間地震による繰返し性能が依存するようなモデルの作成、台風等の強風時における影響が依存しやすいモデルも作成する。 次に、M-CK型システムを構築した試験体を作成し、正弦波加振等による単体の性能試験を行い、繰返し依存性の影響を把握する。また、繰返し依存性を考慮した解析モデル式を構築することを目指す。 次に、単体性能試験を行った試験体を用いて、「地震応答」と「風応答」の繰返し依存性が影響する建物モデルを対象とした、リアルタイム・オンライン応答試験を行うことで、M-CK型システムの繰返し依存性が「地震応答」、「風応答」に及ぼす影響について検証する。 最後に、構築した解析モデルを用いた理論値とリアルタイム・オンライン応答試験の結果をふまえて、繰返し依存性の解析モデルの妥当性を検証し、さらに、対象となる建物の高次モードへの減衰付与の性能を両方法から明確にし、実用化に向けた設計方法を示す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた風洞実験用模型の作成が不可能となったため、CFD解析ソフトの購入をした。そのため、残額が生じた。 残額の使用計画は、令和5年度に実施するリアルタイム・オンライン応答試験の試験治具の費用に使用を計画する予定である。
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