(1)高性能ファサードと外気導入制御の複合効果の評価法の開発:ファサード性能に応じた外気導入(自然換気・外気冷房・最小外気量制御・全熱交換器による熱回収)を可能にする自動制御動作と室内との熱平衡状態を数値計算する方法を開発した。最小外気量制御については、在室人員数による制御のほかに室内CO2濃度制御の場合も計算できる。これにより、ファサードと外気導入制御の複合効果による省エネルギー性と室内の熱的快適性を評価可能となった。 (2)高性能ファサードをもつ環境建築のための設計用気象データの開発:外気温湿度観測地を移転した東京について、設計用気象データ作成に必要な新旧観測地の外気温湿度変換法を改良した。東京を含む国内代表10都市について設計用気象データを作成し、妥当性と気象の長期変化傾向を確認した後に、国内約840地点の設計用気象データを作成し、公開可能にした。 (3)外部日除けをもつファサードの評価法の提案:複雑形状のルーバーをもつファサードに対して、日射遮蔽性能をRadianceなどの光詳細計算ツールにより求め、その結果を熱負荷計算に反映し省エネルギー性等を評価する方法を提案した。光計算ツールにより求める日射遮蔽性能指標を検討し、直達、天空、地表面反射日射に対する日射到達率を新たに定義した。水平ルーバー付きバルコニー建築について、提案した光・熱連携計算法によりファサードの省エネルギー性評価を行い、妥当性・有効性を確認した。 3年間の研究により、高性能ファサードの環境性能コントロール法を、ファサードの高性能化手法とそれに応じた外気導入制御法の複合効果として評価する方法を示すとともに、住宅と非住宅、設計と運用の広い視点から各種評価技術を提案することができた。
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