研究課題/領域番号 |
21K04376
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研究機関 | 足利大学 |
研究代表者 |
仁田 佳宏 足利大学, 工学部, 教授 (10318834)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | UGV / 環境計測 / 温度分布 / MEMSセンサ / SLAM / ロボット |
研究実績の概要 |
本研究は、自律移動が容易な UGV(地上走行ロボット)とUAVを協調させた建物内の環境情報を自動的にかつ空間として把握できる環境把握システムの開発、実用化を目的として行っている。 初年度となる本年度は、まずUAVおよびUGVの移動に伴う温湿度などへの影響について検討を行っている。検討では、温度計測システムとして、UGVにポールを立てたシステム、マルチローターを用いたシステム、UGVとバルーンを併用したシステムの3種類を対象に行っている。検討の結果、マルチローターを用いたシステムでは、ローターにより空気層を攪拌し、正確に鉛直方向の温度分布を計測できないことを確認しいてる。また、UGVにポールを立てたシステムでは、測れる高さに制限が生じる問題点があることを確認している。上記の2つのシステムに対して、UGVとバルーンを用いたシステムでは、高さ方向の制限なしに正確に温度分布を計測できることを確認している。よって、検討結果から、ローターを用いない飛行船やバルーンなどを用いる必要性があることを明らかにしている。また、UGVとバルーンが強調した温度計測システムを試作し、自己位置推定技術 (SLAM)を活用することで、簡易な2D図面の作成と計測位置のマーキングを行えることを確認している。あわせて、SLAMに用いる機器の検討も行い、太陽光の影響を考慮すると、LiDARと慣性計測装置(IMU)の利用が適切であることも確認している。 研究成果として、査読付きとなる国内シンポジウムとなる第23回建築の自動化シンポジウムで「UGV による屋内温度計測」という題名で論文発表を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度となる本年度は、空間として環境計測を行うことを目的として、UAVおよびUGVの移動に伴う温湿度などへの影響について検討を行っている。検討結果から、UGVとバルーンが協調した温度計測システムを試作して、温度計測実験を行っている。 以上のように、本年度は、まずUAVおよびUGVの移動に伴う温湿度などへの影響について検討を行い、次に適切な計測システムとして、UGVとバルーンによるシステムを提案し、SLAMを活用した温度計測を行えていることから、(2)おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2年目となる本年度は、1年目の検討結果および大学構内での計測実験により、整理した問題点と課題点を基に、実用性および利便性の高いシステムとなるように改良を行うことを目的とする。 ハード面の改良では、対象建物の階高に応じて、バルーンもしくは飛行船の高度を調整し、天井面付近の温度も計測できるようする機構の導出、試作および検討を計画している。 ソフト面の改良として、CADやBIMなどのデジタルデータが使用可能な状況も想定して、UGVのナビゲーションアルゴリズムの開発を計画している。ナビゲーションアルゴリズムは、これまで開発してきたARマーカーを用いたナビゲーションアルゴリズムを拡張し、LiDARを併用して用いるアルゴリズムへと拡張を行う。さらに、BIMやCADなどのデジタルデータ図面および自己位置推定技術 (SLAM)を融合した自律移動アルゴリズムについても検討を行う。また、環境情報の可視化についても、ナビゲーションアルゴリズムと同様に、 CADやBIMなどのデジタルデータを活用できるシステムへの拡張を計画している。
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