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2022 年度 実施状況報告書

エアロゾル感染を含む4感染経路の水平伝播数理モデル構築と新規リスク予想基盤の創出

研究課題

研究課題/領域番号 21K04377
研究機関順天堂大学

研究代表者

堀 賢  順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (80348937)

研究分担者 田邉 新一  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (30188362)
尾方 壮行  東京都立大学, 都市環境学部, 助教 (90778002)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードエアロゾル感染 / 中性能フィルター / 換気 / ビル管理法 / 空気清浄機
研究実績の概要

R4年度は、エアロゾルを効果的に換気する条件を国内外の文献およびガイドラインなどの勧告、厚労省発行の見解などを統合しまとめた。感染性に寄与するエアロゾルの大きさは今以て同定されていないものの、飛沫核より大きく、飛沫より小さいレンジの液滴がエアロゾル感染の媒体として関与していることは濃厚であることがわかってきた。このレンジであれば、中性能フィルターで十分捕集できることも明らかになった。このため、世界保健機構(WHO)、米国疾病予防センター(CDC)のscientific briefing/statement、および日本医療福祉設備協会発行の「病院設備設計ガイドライン(空調設備編)HEAS-02-2022」、および建築物における衛生的環境の確保に関する法律(通称、ビル管法)を参考に、クラスターを起こしにくい換気条件を「毎時1人当たり30立方メートルの換気量を目安」とし、代替法として「CO2濃度が1,000ppmを超えないこと」あるいは「不足する換気相当分を補う程度の風量をもつ中性能フィルターをもつ空気清浄機を設置する」ことと定義した。
この目安を、開発中の感染リスク評価ツールのエアロゾル感染防止対策の一つに位置付け、これを満たした場合を5段階評価(1~5点)の3点に据えた。全く対応をしていない場合は1点とし、同様の対策を採用しているが、基準を満たさない場合を2点とした。5点は個室化やコンパートメント化をして物理的にエアロゾルに接触しない場合としたが、4点については「該当なし」とした。
R5年度は、この感染リスク評価ツールを用いて種々の医療施設、オフィス、工場などの一般施設を評価していく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

感染病変として推定された気管支の太さをもとに感染に寄与したと推定される感染性粒子を特定することについては、他者の先行研究でも明らかにされていないまま、換気についての推奨が普及することになり、これまでも一定の予防効果を上げている。また今後液滴の直径についてさらに絞り込んだとしても、対策方法としては変わらないので、本研究では感染に寄与すると推定される液滴のレンジ全体を制御対象として取り扱うことにし、これを効果的に除去する方法を模索することに変更した。このため、計画の変更を経て評価ツールの完成までに時間を要した。

今後の研究の推進方策

エアロゾルの動態については、R3年度に開発した数理モデルによるシミュレーションツールを用いてさらに解析をすすめ、空気が淀みやすい場所を同定するための方法を明らかにする。
また数理モデルによる予測値と、咳マシンを用いて実験的にエアロゾル生成を模擬した場合の実測値の乖離の有無について検討する予定である。
また、数理モデルによるエアロゾルの接触度合いについては数値化できるものの、感染濃度が明らかでないため、絶対的な安全域の同定は難しい。代替案として、これまで順天堂医院で発生したクラスターを題材にして、室内のエアロゾルの濃度分布、診断や発病に至るまでの接触時間などを検討し、リスクの相対的な比較方法を考案する予定である。

次年度使用額が生じた理由

R4年度までの研究進捗の遅れと研究計画の変更により、研究に必要な機器の購入が十分執行できず、R5年度に持ち越すことになった。R5年度は、前年購入ができなかった実験機器を購入し、さらにCFD解析のための計算費用を計上する予定である

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 室内空間における新型コロナウイルス感染リスク低減に関する研究 その1:空気清浄機によるエアロゾル感染対策効果の定量的評価2022

    • 著者名/発表者名
      項 奕銘、落合 涼、冨澤 佑介、尾方 壮行、堀 賢、田辺 新一
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演会
  • [学会発表] 室内空間における新型コロナウイルス感染リスク低減に関する研究 その2:パーティションとビニルカーテンがエアロゾル感染リスクに与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      冨澤 佑介、落合 涼、項 奕銘、尾方 壮行、堀 賢、田辺 新一
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演会
  • [学会発表] Measurement of Ventilation Rate and Evaluation of Infection Risk in a Classroom2022

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Tomizawa, Masayuki Ogata, Ryo Ochiai, Megumi Takenaga, Satoshi Hori, Shin-ichi Tanabe
    • 学会等名
      Indoor Air 2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 空気清浄機によるエアロゾル感染対策効果と清浄効果の不均一分布に関する定量的評価2022

    • 著者名/発表者名
      項奕銘、冨澤佑介、尾方壮行、堀賢、田辺新一
    • 学会等名
      空気調和・衛生工学会大会学術講演論文集
  • [学会発表] COVID-19の効果的な予防策をめぐり医療施設内でのCOVID-19感染症対策で知っておくべき換気に関すること2022

    • 著者名/発表者名
      堀賢
    • 学会等名
      日本環境感染学会総会
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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