研究課題/領域番号 |
21K04384
|
研究機関 | 静岡理工科大学 |
研究代表者 |
石川 春乃 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (30827548)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 脱炭素化 / 学校施設 / 地域特性 / エネルギー消費量 / 温熱環境 / ZEB化 |
研究実績の概要 |
本研究は、学校教室において、コロナ時代の空気質や温熱の教室環境の質を担保しながら、エネルギー消費抑制やZEB化を指向するために、環境配慮を誘導するための運用指針の作成及び運用更新を長期短期の両面から整理することを目的としている。しかし、コロナ禍の換気に対する学校側の運用対策、ギガスクールの電気機器運用など、自治体によって運用方法の相違が想定より広がっている。 本年度は主に以下の研究項目を進めた。 1)静岡県下の全自治体の学習環境現況調査:コロナ禍で制約が多かった2021年度をうけて、2022年度にひとつの基礎自治体に絞って詳細調査を行った。X市教育委員会を通じて、全小学校の教員に対し、教室運用の詳細なアンケート調査を夏期、冬期に実施した。また、懸案となっている教室室温、自然換気に関する個別詳細調査を行った。本研究成果は日本建築学会にて発表を予定している。 2)普通教室に空調設備導入したF市小学校学習環境の詳細調査:当初予定していた実測調査(F市小学校の抽出校を選定し、学校内の教室温熱環境と各所のエネルギー消費量の詳細計測)については、エネルギー消費量計測器の納品遅延によりデータ取得が進んでいなかったが、2022年秋にようやく実測開始できた。2022年度末にはまだ通年データになっていないため、2023年度までデータ取得を継続する。また、温熱環境とエネルギー消費量の状況整理とZEB化にむけた運用効率化に関する試算を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要調査では、急速に変化する学習環境ニーズを整理してから県下自治体への学習環境把握を行う準備として、X市の学習環境とエネルギー消費実態を把握する調査を実施した。2021年度には、Ⅰ群(教室空調設備導入)のF市を調査した。2022年度の詳細調査では、Ⅱ群(教室空調設備後導入)のS市に変えてX市につき、(1)自治体全校の運用エネルギー消費量の現況把握及び分析、(2)実測校抽出、運用エネルギー消費量の実測調査、(3)モデル校抽出、学校毎設計・基準エネルギー消費量の算出及び分析、(4)モデル校の設計エネルギー消費量抑制、運用ベースのZEB化に向けた検討、(5)運用上可能なZEB化案の整理、の5段階を実施した。研究成果は、2023年度の日本建築学会にて発表予定である。今後は、エネルギー消費量の机上値に対し、実測値を分野別に調査分析する。2022年秋に整った計測器により、詳細実測のデータが継続的に得られる環境を整える。
|
今後の研究の推進方策 |
予定工程通り、概要調査と詳細調査の両面から進めている。 概要調査は、X市の実態把握を整理して、本来当初に実施予定であった県下自治体への学習環境把握を進める。 詳細調査は、Ⅰ群とⅡ群の調査比較を行う。具体的には、(1)自治体全校の運用エネルギー消費量の現況把握及び分析、(2)実測校抽出、運用エネルギー消費量の実測調査、(3)モデル校抽出、学校毎設計・基準エネルギー消費量の算出及び分析、(4)モデル校の設計エネルギー消費量抑制、運用ベースのZEB化に向けた検討、(5)運用上可能なZEB化案の整理、の5段階につき、Ⅰ群とⅡ群の相違を整理し、快適な学習環境を維持しつつZEB化を達成する試案を検討する。実測機器は、計測開始が遅くなったものの、詳細実測のデータが継続的に得られる環境を整える。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による計測器の納期遅延などにより、実測計画を抜本的に変更せざるを得ない場合を想定して、機器納期の明確な回答を待った。2022年秋に納品され、計画は大きく変更せずに進められることになったが、その後の計画変更を行い、当初計画していた機器購入を年度内に行わなかったため。
|