本研究は、学校施設ZEB化に向けた教室環境の質とエネルギー消費抑制の両立を図るため、環境配慮を誘導する運用方法の整理を目的としている。研究期間には、普通教室に空調設備導入済のF市、新規導入したS市に加え、環境行動喚起を促す検討を行ったX市等、県下複数の自治体での小学校教室の学習環境の把握を行った。研究当初から、コロナ禍の換気に対する学校側の運用対策等、教室運用をめぐる状況は大きく変化しており、自治体によって運用方法の相違が想定より広がっている。 本年度は、主に脱炭素化への取組に資する教室の運用方法について、以下の研究項目を進めた。いずれの項目についても学会発表を行った。 1)静岡県下自治体の学習環境現況調査+エネルギー消費量調査:県下複数の自治体で継続的に普通教室の学習環境調査を行った。また、あわせて自治体全小学校施設の通年エネルギー消費量調査を行った。温熱環境及びエネルギー消費量の状況整理とZEB化にむけた運用効率化に関する試算を行った。各実測対象となった自治体に成果報告し、運用における成果活用を促した。 2) 教員の学習環境運用に関する調査:2022年度に実施したX市全小学校教員に対する教室運用詳細アンケート調査をまとめた。コロナ禍における適切な窓開け換気により、熱負荷2割削減を見込める結果となった。本研究成果は学会発表とあわせて、論文投稿を行った。 3)既存設備の効率的な運用及び環境行動喚起に関する調査:教室内設備を活用し、教室全体の快適感を高める調査と検討を実施した。X市小学校の児童に環境行動を促し、窓開け換気の運用改善による熱負荷低減案を示した。
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