研究課題/領域番号 |
21K04387
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研究機関 | 国土技術政策総合研究所 |
研究代表者 |
宮田 征門 国土技術政策総合研究所, 住宅研究部, 主任研究官 (40554986)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 非住宅建築物 / 省エネルギー / 脱炭素 / 性能試験 / シミュレーション / VRFエアコン / 空調システム / パッケージエアコン |
研究実績の概要 |
VRFエアコンのエネルギー消費性能はJIS B 8616:2015で規定された方法に基づき試験されるが、この試験性能と実際にVRFエアコンが建築物に設置され運用されたときの性能(実働性能)には乖離があり、真に省エネルギーに寄与するVRFエアコンの開発や普及の阻害要因となっている。本研究では、より省エネルギーな非住宅建築物の設計及び運用の実現を目指して、VRFエアコンのエネルギー消費性能を実態に即して適切に評価・表示する新たな手法の開発を行う。 令和3年度は、省エネルギー基準の申請データ(平成30年度、令和元年度、令和2年度の3年分)を分析して事務所と店舗の標準的な設計仕様(外皮の断熱性能、VRFエアコンの定格能力、定格効率等)を明らかにし、これらの仕様を適用して動的負荷計算を実施して代表的な熱負荷パターンの規定を行った。熱負荷パターンは、地域別(寒冷地、準寒冷地、温暖地、蒸暑地)、規模別(小規模、中規模、大規模)に作成を行った。また、国立研究開発法人建築研究所の空調設備性能評価試験装置にて実機を対象とした試験を実施し、実働性能を試験により明らかにするための手順(負荷の与え方、室内湿度の制御方法、空調起動時の制御方法など)、性能を計測するための温湿度センサー等に求められる要件、計測したデータから性能値を算出する方法を検討し、具体的な試験プロトコルとして整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の申請書に記載の予定どおり、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、VRFエアコンの動的応答を考慮したシミュレーションモデルの構築及びモデルパラメータ決定手法について検討を行う。シミュレーションモデルについては、令和3年度に実施した試験結果を踏まえて圧縮機回転数と冷媒圧力の動的変動をモデル化し、これを先行研究で開発した物理式ベースのVRFエアコンの数理モデルに組み込むことでシミュレーションモデルを構築する。パラメータ同定手法については、試験データに対して動的システム学習手法等を適用することでモデルパラメータを自動的に算出する手法の開発を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験を実施して意図通りの結果が得られないことを想定していたが、令和3年度については試験の失敗は殆どなく、手戻り無く試験を完了できたため、次年度使用額が生じた。令和4年度に実施を予定している試験は更にチャレンジングな取り組みであり試行錯誤が必要になるため、当該使用額を活用して試験ケースを増やし、より確実にデータを取得できるようにする予定である。
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