研究課題/領域番号 |
21K04401
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
南 一誠 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (10407223)
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研究分担者 |
山代 悟 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (20345101)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 集合住宅 / 居住履歴 / 改修履歴 / 継続調査 / 高齢社会 / POE / 大規模修繕工事 / 住みこなし |
研究実績の概要 |
研究代表者は1980年代初頭に建設された多摩NTのK団地を対象として、集合住宅の居住履歴(住まい方の実態)やインフィル(住戸専有部分の内装・設備)の改修実績を継続的に調査してきた。研究対象の団地は、入居開始の翌年、その後はほぼ10年間隔で実態調査を実施されている。本研究はこれまでの調査を継続・発展させ、入居開始後40年目の第6回目の調査を行うものである。研究の目的は、居住履歴と改修の実態調査の結果に基づき、長期に渡って住み続けることに関する建築計画、構法計画上の課題について考察し、居住者の高齢化や入居者の世代交代など、既存団地が抱える諸課題への具体的な対応策を見出すことにある。集合住宅の実態調査を40年間に渡って継続している調査研究は、世界的にも類例がなく、本調査の結果から、集合住宅の計画・設計や運営、維持管理、修繕改修等の全プロセスにおける新たな知見を得ることを目指している。 近年、集合住宅のストックが増加していく中、スクラップアンドビルドではなく修繕・改 修工事を行いながら、長く住み続けていくことの重要性が高まっている。1982年以来40年近くにわたって住み続けられている集合住宅を一事例として、1980年代初頭に可変性を重視して計画された KEP による集合住宅が、どのような居住履歴、改修実績の変遷を辿ってきたか、当初の設計意図がどのような有効性を持ったのかを明らかにすることが本研究の学術的な意義である。 本研究は、これまでに、科学研究費補助金基盤研究(基盤研究(C))「可変型集合住宅の経年変化と工業化インフィルによる改修工事の性能評価に関する研究」(平成18~19年度)、科学研究費助成事業(基盤研究(C))「集合住宅のインフィルに求められる可変性の検証と高齢社会への対応(平成28年度~平成30年度)」の助成を受けて、研究を実施しており、その内容を踏まえて、研究を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの感染の影響を受けて、本研究において重要な部分をなす居住者を対象としたアンケート調査、ヒアリング調査は未実施であるが、理事会などとの話し合いを行い、準備を進めている。対面での実施が不要な住戸の専有部分の改修工事については、工事の申請書を閲覧することにより、調査を実施済みである。現在、その分析作業を行っている。これまでの研究成果を取りまとめて、査読付き論文を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの感染が一定程度に収まり、調査対象団地の了解が得られたら、速やかにアンケート調査、ヒアリング調査に着手できるよう、質問項目の精査を行い、計画通り現地調査を進めることができるように努めたい。
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