研究課題/領域番号 |
21K04404
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研究機関 | 東京都市大学 |
研究代表者 |
中島 伸 東京都市大学, 都市生活学部, 准教授 (50706942)
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研究分担者 |
石榑 督和 関西学院大学, 建築学部, 准教授 (10756810)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 都市空間形成史 / 都市史 / 生業空間 / 産業構造 / 北前船寄港地 |
研究実績の概要 |
本研究は、現代を含む近代以降の港町に着目し、港町を空間および産業構造から生業的なものと国家政策的なものの間に揺れる実空間と捉え、「港」を産業基盤として陸域と水域を結ぶ都市・地域施設として、「港町」を施設としての港を中心に港に近接した産業従事者の居住地を含む生活圏域と定義し、①都市史研究から生活者(生業集団)による空間生成の応答を分析し、②水域と陸域を等しく対象空間として、空間の所有と利用の実態に迫り、③政策(狭義の計画)と生業(生活の実態)による空間形成を把握することで今後の生業空間更新計画論確立に向けた知見を得ることを目的としている。 本年度は、北前船の寄港地の空間変容動向の全体把握のために、社会=空間構造論的類型化による仮説生成として、対象候補地でのプレサーベイとして、フィールドワーク(空間調査、現地ヒアリング、資料収集)を実施した。福井県坂井市旧三国町での調査では、北前船寄港地としての産業連関から生成された職人が集積した居住地の分析を試みることで、町家の類型と生業の応答について一定の仮説を得ることができた。また、南越前町では、港湾機能が喪失し、北前船廃業後の周辺産業への展開による発展(大都市部への展開と居住地の応答)について、示唆を得る事例分析を実施することができた。また、但馬地方において、竹野、諸寄で、廻船問屋と船宿の調査を実施し、現在の漁村への変容を今後さらに復元調査にて実施する。 研究分担者とは、研究会をキックオフミーティング含めて3回開催し、第1回で研究課題の枠組みについての議論と第1回プレ調査(福井地域)の計画、第2回でプレ調査のまとめについて、第3回で第2回プレ調査(但馬地域)の報告について議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、フィールド調査を実施することを通じて、北前船船主の衰退後の動向と港湾空間形成の関連について知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、研究実績の概要にある①の観点から詳細対象地で、前近代の絵図と近代地図史料と所有変遷などから産業・生業面からの空間再現を試みること、②の観点から漁港機能の造成について戦後史に着目して分析を試みる。以上より最終年度で③についてまとめる知見を整理していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で、現地調査の計画に変更が出たため、旅費の執行が当初より縮小実施となった。令和4年度については、令和3年度実施予定であった調査も含めて、実施する予定である。
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