研究課題/領域番号 |
21K04405
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
杉原 健一 金沢大学, 地球社会基盤学系, 研究協力員 (80259267)
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研究分担者 |
沈 振江 金沢大学, 地球社会基盤学系, 教授 (70294543)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自動生成 / 3次元建物モデル / スマートシティ / 建物の3Dモデル / 建物ポリゴン分割 / 力学シミュレーション / 津波シミュレーション / 太陽光シミュレーション |
研究実績の概要 |
経済発展と社会的課題の解決を両立する「Society 5.0」の実現には、「IoT」や「責任あるAI」、「ビッグデータ解析」等の情報技術の成果を最大限活用し、現実都市のデジタルレプリカである「スマートシティ/Digital Twin」プロジェクトを強力に推進する必要がある。「Digital Twin」では、人や車の流れだけでなく、ビルのパイプラインの水や電気等の流れをリアルタイムで把握できる。「Digital Twin」を実現するためには3Dモデルを設計から施工、維持管理に至るまで利活用する「BIM」が必要不可欠である。「3D・BIMモデル」は、柱や梁、鉄骨、配管、空調ダクト等の建物を構成する部材を忠実に再現する3Dモデルを持ち、「図面の不整合」や「コア抜き」などの不具合を防止することができる。しかし、現状では、この3Dモデルを作成するには、多大な労力と時間をかけ、部材の形状作成・属性情報入力を行い配置している。この多大な労力と時間を省き、3D・BIMモデルの利活用を促進、普及させるために3Dモデルを効率よく生成することが重要で、杉原らのこれまでの研究成果である「電子地図上の建物境界線に基づいて建物の3Dモデルを自動生成するシステム」を発展させ、「スマートシティのための建物の3D・BIMモデルを自動生成するシステムの開発」を目的とする。 昨年度の研究成果として、詳細な建物の3Dモデルを自動生成するシステムの開発を行い、以下の研究成果をあげた。 (1) 建物ポリゴンの分割をあらゆる場合で可能にした「分割四角形の方向フリップを行うポリゴン分割・整形手法」による3次元建物モデルの自動生成。 (2) 自動生成する3次元建物モデルの内部での太陽光シミュレーション。 (3) 地震や津波のシミュレーションが可能な、建物を静的・動的剛体モデルで構成する「動的3次元建物モデル」の自動生成。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の進捗状況として、「おおむね順調に進んでいる」と考える。その理由として、以下に示す「研究目標」に対して、2年目として、「現在までの進捗状況」に示すような研究成果をあげているからである。
【研究目標】「Digital Twin」を実現するためには3Dモデルを設計から施工、維持管理に至るまで利活用する「3D・BIMモデル」が必要不可欠である。「3D・BIMモデル」は、柱や梁などの「部材」を再現する3Dモデルを持ち、津波や太陽光などのエンジニアリング・シミュレーションが可能である。しかし、現状では、これらの3Dモデルを作成するには、多大の労力と時間をかけ作成している。この多大な労力と時間を省き、3D・BIMモデルの利活用を促進、普及させるために3D・BIMモデルを効率よく生成することが重要で、杉原らのこれまでの研究成果である「電子地図上の建物境界線に基づいて建物の3Dモデルを自動生成するシステム」を発展させ、「スマートシティのための建物の3D・BIMモデルを自動生成するシステムの開発」を目的とする。
【現在までの進捗状況】本研究で自動生成される建物の3Dモデルは、リモセンや手続き型モデリングで生成される建物の3Dモデル(表面モデル)と異なり、その「部材」が中身の詰まった「ソリッドモデル」であり、エンジニアリング・シミュレーションが可能で、「津波や太陽光のシミュレーションが可能な3次元建物モデルの自動生成」というテーマで、それから、電子地図上の建物境界線に基づいて、建物の3Dモデルを自動生成するために「分割四角形の方向性を考慮したポリゴン分割・整形による建物の自動生成」というテーマで、日本建築学会 情報シンポジウム、土木学会 土木情報学シンポジウム、地理情報システム(GIS)学会と国際学会(SPSD Symposium 2023&2022)にて発表した。
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今後の研究の推進方策 |
スマートシティのための建物は、ソーラーパネルを備え、季節に応じて太陽光を導き、空気の流れを制御して冷暖房コストを抑え、災害時にも「持続可能な建物」である必要がある。そのために「Digital Twin」ともなる、建物の細部まで忠実に再現し、設計から施工、維持管理に至るまで利活用する「3D・BIMモデル」を作り、建設・維持管理の効率化、電気や空気の流れを制御することが重要である。BIMは、現在、急速に進化・発展し、長い間、建築設計の元になっていた「図面」にとって代わりつつある。しかし、現在のところBIMの活用は、「詳細な3Dモデル」を構築できるマンパワーのあるゼネコンなどの大規模建築物に限られている。これは、「3Dモデルの作成」や「属性情報の入力」を行うには、多大の労力と時間が必要であるからである。そこで、3D・BIMモデルを自動生成するために「四角形の方向性を考慮したポリゴン分割・整形による建物の自動生成」の手法を発展させ、「ポリゴン分割・整形した四角形の組み合わせ」で、自動生成システムは、四角形が隣接する四角形のどの辺にどのように接しているかを調べ、どの壁に、また、その壁のどの部分に窓やドアが設置できるのか、さらに、建物境界線全体をみて、どの壁にドアや玄関やガレージを設置するのが蓋然性が高いか、あるいは、ある壁のどの部分にどういった窓を付けるのが現実にありうるのかなどをコンピュータ幾何学に基づいて推定するような新規のアルゴリズムを開発し、Digital Twinとなる細部まで再現する3D・BIMモデルを自動生成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当初、国際学会(CIVILMEET2022)で研究成果を発表する予定で、その出張旅費と参加費を当科研費で執行予定であったが、提出論文の内容と国際学会の研究分野の不一致があり、提出した論文は不採択となり、国際学会参加をキャンセルした。その結果、当該助成金が生じた。
(使用計画)当該助成金は、本年度請求した助成金とあわせて、主に、学生と共に国際学会で研究成果の発表と意見交換、それから、最新の研究動向の情報収集等のために使用していく計画である。
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