研究課題/領域番号 |
21K04409
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研究機関 | 米子工業高等専門学校 |
研究代表者 |
天野 圭子 米子工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (20560220)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サービス付き高齢者向け住宅 / 防災計画 / 避難計画 |
研究実績の概要 |
大規模災害の発生を踏まえ、高齢者の住まいにおける災害対策が課題である。厚生労働省は高齢者が生活を送る介護保険施設等の防災対策や事業継続計画(BCP)策定に向けた通知を都道府県・指定都市・中核市に発出している。しかし、2011年10月に制度創設されたサービス付き高齢者向け住宅は、特定施設を除いて介護保険施設に該当せず、厚生労働省の防災対策やBCP策定の通知対象に明記されていない。また、サービス付き高齢者向け住宅には防災対応に関する全国一律の規定がない。現状では防災指導の実施は各地方自治体に委ねられている。 2021年度は地方自治体(市町村)からサービス付き高齢者向け住宅に対する災害時の支援計画や実態について把握することを目的に、被災経験がある地方自治体(市町村)を対象にアンケート調査を実施した。調査では、サービス付き高齢者向け住宅の他、特別養護老人ホームやグループホームなど高齢者施設に関する支援状況も同様に確認することで、高齢者の住まいにおける共通の課題、またはサービス付き高齢者向け住宅のみで確認される課題を整理した。 結果から、地方自治体(市町村)によるサービス付き高齢者向け住宅の被害確認状況は、高齢者施設と比べて低い傾向にあった。防災計画を策定する上での手引きは、国が介護保険施設等に向けて作成したマニュアルをサービス付き高齢者向け住宅においても活用していることが伺えた。しかし、サービス付き高齢者向け住宅は職員配置や共用空間の設置基準が高齢者施設とは異なるため、特性にあった対策の検討が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、2021年度は地方自治体(市町村)を対象にしたアンケート調査を実施しており、高齢者施設への支援状況と比較することで高齢者の住まいにおける共通の課題、またはサービス付き高齢者向け住宅だけに見られる課題を明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
サービス付き高齢者向け住宅の登録基準には、都道府県知事が独自基準を設ける場合がある。今後は都道府県レベルで、サービス付き高齢者向け住宅に対する防災対応の基準策定および防災指導の実施状況を確認していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費について、学会発表にかかる旅費を計上していたが、2021年度は学会がオンライン開催となったため使用しなかった。研究の達成度としての遅延はないが、今後、論文掲載など研究成果の発表などにおいて使用する計画である。
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