研究課題/領域番号 |
21K04413
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
氏原 岳人 岡山大学, 環境生命科学学域, 准教授 (20598338)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | 空き家 / スプロール市街地 / 空き家率 / 衰退 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、人口減少時代のスプロール住宅地の現状とあるべき姿を科学的なエビデンスに基づき明示するとともに、行政や専門家と連携して、その実現に向けた具体策を提案することである。初年度は、地方都市である岡山県岡山市を対象に、地区(町丁目)単位の空き家の実態を定量的に把握するとともに、空き家が相対的に多く、衰退する地区の都市内の位置づけを明確にした。次に、それら地区をタイプごとに分類し、現地調査することによって衰退地区の条件を整理し、現行の空き家対策の限界を明らかにした。 得られた結果は以下の通りである。1)空き家が顕著に多い衰退地区(空き家率10%以上)は、全体の4%、人口で1%、面積では13%であった。空き家が顕在化するような地区は、都市全体でみると限定的であり、空き家率の偏りも大きく、空き家問題に地域格差が生じていた.2)衰退する地区の条件は、共通条件として「インフラ」、個別条件として「立地」、「急斜面」、「歴史」が存在した。共通条件と個別条件が組み合わさることによって空き家率の高い衰退地区が発生していた。3)現行の空き家対策は個別の対症療法であって原因療法ではないため、衰退地区の根本的な対策にはならない等の限界があることも指摘された。衰退地区の環境改善は難易度が非常に高く、個別の空き家対策だけでは限界があるため、合意形成も含めた中長期的な都市計画としての面的対策が必須である。加えて、市場メカニズムが極めて働きにくく、さらに公共部分のインフラのリノベーションも必要なため行政の関与も必要である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画では、スプロール住宅地のみを対象にする予定であったが、初年度は、スプロール住宅地だけでなく、それ以外の地域も対象に分析することで、人口減少下において衰退する地区の条件を、相対的な視点から明らかにすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
スプロール住宅地を対象に、各種データに基づいてその特性を類型化するとともに、戦略的再編指針に基づくロードマップを構築する。
|