研究課題/領域番号 |
21K04414
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
中島 美登子 香川大学, 創造工学部, 准教授 (30413868)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 防災集団移転地 / 高齢者 / 交流関係 |
研究実績の概要 |
本研究で取り上げる2つの防災集団移転地は住民構成という点ではそれほど大きな違いはないが,これら2つの防災集団移転地のうち1つは移転当初から高台内に集会所が設置され,そこで一定のコミュニティ活動が行われてきたのに対し,もう1つは移転からかなり遅れてつい最近集会所が開設されたばかりである.以下では,まずこのような違いがどのように生み出されたのかを防集事業における移転プロセスと集会所の設置状況の検討を通して明らかにする.そのうえで,このような移転プロセスと集会所の設置状況の違いが防災集団移転地における高齢者を含む住民の交流状況や意識とどのように関係しているのかをアンケートとインタビューによって明らかにする.以上を通じて,本研究では防災集団移転地における集会所の役割や課題を明らかにすることを目的とする.調査対象は A地域にあるR地区とS地区の2つの防災集団移転地(以下,R高台,S高台)を対象とすることとした. 本研究ではR高台とS高台の2つの防災集団移転地を対象として移転の経緯や集会所の設置状況について聞き取りを行うとともに,住民の交流状況や意識などについてアンケート調査を行い,それぞれの防災集団移転地における高齢者を含む住民の交流状況や交流場所,自治会活動への参加状況などを把握した.また,このアンケート調査でインタビュー調査の了承が得られた住民にインタビューを行い,外出行動や交流状況,趣味活動,施設の具体的な利用状況等を明らかにした.その結果,単純に集会所を設置すれば高齢者の交流が活発になるというものではなく,集会所の具体的な利用状況や地域活動との関連によって,集会所が高齢者の交流や意識におよぼす影響も大きく異なることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2つの防災集団移転地を取り上げて調査を行った。具体的な研究の進め方は最初に1)仮設住宅から防災集団移転地への移転後に住民構成はどのように変化したのか、とりわけ前住地(被災前の居住地や仮設住宅)を同じくする入居者の転出入と前住地を共有しない新規入居者の内訳を調べることで、仮設後の住まいにおけるコミュニティの変化を明らかにした。次いで2)防災集団移転地における自治会活動や各種イベントなどのコミュニティ活動の内容と、入居者の属性による参加の程度や役割の違い、および3)周辺地域住民との新たな交流や結びつき、具体的には防災集団移転地の集会所で行われるイベントへの周辺地域住民の参加状況と、周辺地域で行われる地域活動への防災集団移転地の入居者の参加状況を調べた。そして「共助」の担い手としてのコミュニティ及び周辺地域社会の役割を明らかにした。4)防災集団移転地に暮らす高齢者による介護サービスや支援員などの既存の地域包括ケアサービスの利用状況を調べることで既存の高齢者支援体制の役割と問題点を明らかにした。これらの作業を通じて、仮設後の住まいにおける高齢者の孤立化防止と生活支援の諸条件の解明を試みた。調査方法はアンケート調査とインタビュー、参与観察を組み合わせて調査を行った。具体的には、入居者(自治会長を含む)へのアンケート調査とインタビューを通じて、1)入居者の住民構成とその変化、2)仮設後の住まいにおけるコミュニティ活動の実態、3)周辺地域住民との関係を明らかにした。さらに、高齢者サポート拠点のスタッフおよび支援員へインタビューを行い、4)既存の地域包括ケアのサービスと支援員の活動内容を明らかにした。 今年は、コロナのためできなかったが、来年度はコミュニティ活動の実態についての集会所で行動観察調査を行い、具体的な利用状況を把握したい
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今後の研究の推進方策 |
2年目は2つの災害公営住宅を取り上げて調査を行い。具体的な研究の進め方は最初に1)仮設住宅から災害公営住宅への移転後に住民構成はどのように変化したのか、とりわけ前住地(被災前の居住地や仮設住宅)を同じくする入居者の転出入と前住地を共有しない新規入居者の内訳を調べることで、仮設後の住まいにおけるコミュニティの変化を明らかにする。次いで2)災害公営住宅における自治会活動や各種イベントなどのコミュニティ活動の内容と、入居者の属性による参加の程度や役割の違い、および3)周辺地域住民との新たな交流や結びつき、具体的には災害公営住宅の集会所で行われるイベントへの周辺地域住民の参加状況と、周辺地域で行われる地域活動への災害公営住宅の入居者の参加状況を調べる。そして「共助」の担い手としてのコミュニティ及び周辺地域社会の役割を明らかにする。4)災害公営住宅に暮らす高齢者による介護サービスや支援員などの既存の地域包括ケアサービスの利用状況を調べることで既存の高齢者支援体制の役割と問題点を明らかにする。これらの作業を通じて、仮設後の住まいにおける高齢者の孤立化防止と生活支援の諸条件の解明を試みる。調査方法はアンケート調査とインタビュー、参与観察を組み合わせて調査を行う。具体的には、入居者(自治会長を含む)へのアンケート調査とインタビューを通じて、1)入居者の住民構成とその変化、2)仮設後の住まいにおけるコミュニティ活動の実態、3)周辺地域住民との関係を明らかにする。さらに、高齢者サポート拠点のスタッフおよび支援員へインタビューを行い、4)既存の地域包括ケアのサービスと支援員の活動内容を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究課題にかかわる当初の予算執行計画では、岩手県大船渡市での現地調査の旅費と消耗品に予算を充てる予定であったが、2020年度から2021年度にかけてのコロナ禍の影響により現地調査をおこなうことが困難な状況となり、郵送によるアンケート調査、および電話等による聞き取り調査をおこなうことになった。しかし、これまでの調査で築き上げてきた現地との信頼関係や基礎データのおかげで、これらの調査でも十分なデータを得ることができた。そのため、研究対象には大きな変更はないが、研究方法については、防災集団移転地の各世帯を訪問してアンケートを直接渡すつもりであったが、郵送などででアンケート調査票を送り、回答も郵送で返送してもらうとともに、調査許可が得られた世帯には電話によるインタビュー調査をおこなうことによって、入居者の生活実態や交流関係、集会所の利用状況等についてのデータを収集することになった。そのため、今年はアンケートの作成の紙代や印刷のためのトナーなどの物品費が計上され、旅費と人件費・謝金などの費用については使用できていないので、来年度に使用する予定である。また行動観察調査についてもコロナのためできなかったが、来年度はコミュニティ活動の実態についての集会所で行動観察調査を行い、具体的な利用状況を把握したい。
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