被災地における高齢者の孤立化をめぐる研究は、東日本大震災の被災地における「変化」を適切に捉えきれない。1)時間の経過とともに災害公営住宅の入居者が入れ替わり、コミュニティ自体が変容していること、2)災害公営住宅と周辺地域住民との新たな交流や結びつきが生まれつつあること。災害公営住宅におけるコミュニティの変化や多様性・異種混交性に着目するとともに、そうしたコミュニティを災害公営住宅や防災集団移転地の内部において完結したものとしてとらえるのではなく、周辺地域社会との相互関係においてとらえなおすことで、被災地における高齢者支援の問題をより広範な地域包括ケアに接続していこうとする点に最大の特徴がある。
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