AEDタクシーの導入効果について、付け待ち営業を基本とする千葉市に変えて、流し営業を実施する観光都市の京都を対象に検証を行った。観光客のタクシー需要および利用傾向をアンケート調査から明らかにし、市民による日常生活のタクシー利用と観光客によるタクシー利用の効果を合算する評価モデルを作成した。カバー圏域内で複数タクシーのカバー圏域が重複する割合は設定時間の延長に伴い増加し、設定時間4分の人口カバー率は3重複割合と4重複割合はあわせて約68%に達することを確認した。この値は4分人口カバー率87.86%の約77%に該当し、観光客によるタクシー利用はカバー圏域の拡大だけでなく、AED搬送の確実性の向上に寄与していることを明らかにした。 千葉市のAEDタクシーについて、単純なカバー率に加えて複数台のタクシーによる重複状況を確認した。設定時間3分で54.9%、設定時間4分で77.9%の人口が2種類以上の付け待ちスポットの重複圏域に含まれる結果となった。3種類以上の重複についても、設定時間4分では47.6%と約半数の人口がカバーされることを確認した。さらに、AEDの使用率が高い高齢者の人口分布と重複状況について検証し、概ね高齢者の人口密度が高いエリアは重複エリアに含まれることを確認した。花見川区では他の区と異なり高齢者人口密度の高いエリアが重複エリアと一致せず、AEDタクシーを補完する他のAEDの整備方も併用することの必要性を確認した。 AEDタクシーと救命ドローンのモデル構築と効果の検証を個別に行ってきた千葉市のカバー圏域の結果を一体化させた評価を行った。その際、AEDタクシーの4分カバー圏域は救命ドローンとの重複カバー対象エリアと位置付けてそのカバー率を検証し、AEDタクシーと救命ドローンの双方のカバー圏域から漏れてしまい設置型AEDの継続運用が重要となるエリアを明らかにした。
|