研究課題/領域番号 |
21K04431
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新 雄太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50739224)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | コミュニティ / アクターネットワーク理論 / ソーシャルキャピタル / 空き家 / 町並み / 社会的ジレンマ / ニューマテリアリズム |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの影響が続き、当初予定していた「結と家研究会」を軸にした現地調査の履行が困難な場面が多かったため、R4年度は調査対象事例を特定のエリア(長野県塩尻市奈良井宿)に絞り、実施した。当該地は、重要伝統的建造物群保存地区(以下、重伝建地区)の最初期の選定で著名であるが、近年、少子高齢化や空き家の増加等の地域課題が顕著である。 そこで、重伝建地区に暮らす住民の参入者に対する意識構造に着目して、空き家問題を契機としたコミュニティの社会的ジレンマの実態を明らかにし、将来にわたる持続的な町並みの共同管理に関する示唆を得ることを目的とした論文を完成させた(現在査読中)。これは、江戸時代の暮らしを現世に伝える「町並み」が観光資源でありつつも暮らしの器でもあるという共存性(社会的ジレンマ)を扱ったものであり、「町並み」をアクターとして捉え、住民のソーシャルキャピタルとの関係で分析している。 調査は、空き家の実態調査(実に重伝建地区内の空き家のうち半数近くが保存建物であった)、空き家の近隣居住者へのインタビュー調査(20組)、全住民アンケート調査(有効回収率83%)といった具合に、特定のエリアに絞り現地のステークホルダーとの協力体制により充実した調査を実施することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
想定以上に新型コロナウイルスの影響が長期化するなかで、対象地を絞り、その代替として特定のエリアにおいて、具体の充実した調査を企画・実施することができ、ジャーナルに投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
R5年度より、新型コロナウイルスの扱いは大きくシフトするが、依然として猛威をふるうため、多くの対象地で複数の事例を扱うことは社会的に困難であると考えており、協力体制の整う特定のエリアにおける調査を引き続き進めることが現実的である。具体的には、前述の調査において住民意識にのみ着目したが、一方向的な視点に終始しているため、参入者や空き家所有者等への意識調査も踏まえた、より俯瞰的な意識構造を扱うことを企図している。
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次年度使用額が生じた理由 |
最後の端数分を年度末に調整できなかったため。
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