研究課題/領域番号 |
21K04431
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
新 雄太 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任助教 (50739224)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | コミュニティ / アクターネットワーク理論 / ソーシャルキャピタル / 空き家 / 町並み / 家守 / エリアリノベーション |
研究実績の概要 |
3年目であるR5年度は、初年度に行った「結と家研究会」で扱ったフィールドワークの2種(茅をめぐる共同体の営み@長野市戸隠中社地区、麻をめぐる共同体の営み@大町市美麻地区)を取り纏め、学会発表を行った。具体的な内容としては、アクターネットワーク理論を援用して、地産材をどのような規範と仕組みで暮らしに取り入れてきたのか、現地の話者へのインタビュー調査を基軸にした域内での地産材のアクターとしての振る舞いをエスノグラフィー的アプローチにより構造化(図化)している。
また、そうした伝統的な地産材とコミュニティ、それによって構築される建築・空間といった構造をアナロジカルに捉え、現代への示唆を得ようとするのが本研究のそもそもの目的である。そこで現代的な地産材としてストックがあり、その中でも空き家再生を通じた都市更新、エリアリノベーションが注目されている。持続的なコミュニティの維持継承という観点からすると、いかに社会的関係性を維持継承しながら空き家再生を通じて都市更新を行えるのか、という問いがあり、この検証のために行ったアンケート調査を取り纏め、現在海外ジャーナルへの投稿論文の準備中である。関連して、エリアマネジメントの現代的な牽引役として「家守」の存在が再注目されており、その実態と課題を全国的なアンケート調査により分析し、論文として取り纏めた(査読中)。
そして、これまでの文献調査から、コミュニティがつくる建築/建築がつくるコミュニティを主題にした、アクターネットワーク理論の応用的理論枠組みの整理を行っている。建築や町並みが持つ社会的関係資本を、モノの事物連関の記述と、モノに対するヒトの意識構造の可視化を通じて位置付ける試みであり、上記の論文化作業も含めて研究期間を延長して取り纏める予定。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
補助事業の目的をより精緻に達成するための、理論的枠組みの整理と、論文投稿等の実施
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今後の研究の推進方策 |
すでに調査等はすべて終了しており、あとは取り纏める作業に期間を要する。論文投稿を機会として捉え、これまでの総仕上げとして、延長期間を有効に活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最後の取り纏め作業と論文投稿を控えているため、予算を残している。
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