研究課題/領域番号 |
21K04442
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
浦部 智義 日本大学, 工学部, 教授 (10409039)
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研究分担者 |
宮崎 渉 日本大学, 工学部, 講師 (90578147)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 復興交流施設 / 東日本大震災 / 福島県 / 評価 / 役割 |
研究実績の概要 |
2011年3月11日に発災した東日本大震災及びその後の原発事故(以降3.11と略)から11年が経過してもなお,福島県内の被害の大きかった地域では元の人口の数割の帰還に留まっている自治体もあり,復興に向けた課題も多い。そうした状況を少しでも改善する目的から,特に原発事故による避難が長期化した各自治体内で復興を推進する拠点を設け,そこに,自治体内外の人の交流を促す施設を建設する取り組みが見られる。そのような目的で建設された,従来にない新しいビルディングタイプともいえる施設(以降、復興交流施設と略)の内容や在り方について,今後の同種の施設計画に役立つような,調査分析が行われているとは言い難い状況である。 そこで,3.11後の被害が大きかった福島県内の被災12市町村について,復興拠点整備やその他の施設計画とも一部照らし合わせながら,特に,福島再生加速化交付金事業を利用して整備された復興交流施設に関する情報を中心に整理し,復興交流施設に関する整備状況を把握した。その上で,開館後一定期間が経過し自治体内外の交流を主目的としている福島県内で4つの自治体(南相馬市小高区、楢葉町、飯舘村、葛尾村)に設置された復興交流施設を対象として,文献・資料でその内容を確認すると共にオンライン等による管理者・運営者ヘヒアリング調査も行い,立地,周辺既存施設等をはじめ,施設内の機能等について比較分析を行った。結果として,各施設の類似点や相違点について,一定程度明らかにできた。また,一部施設については,利用者数など利用状況についてもデータ分析を並行して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の調査分析については,新型コロナウィルス感染拡大の影響で,フィールドワークが当初計画と比べ十分に出来なかった部分もあるが,調査対象を絞り込む予備調査的な側面も大きかったことから,適宜オンラインによる調査に切り替えることで,研究の進捗に大きな影響は無かったと考える。
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今後の研究の推進方策 |
1年目に4施設とした調査対象施設について,利用者数等の利用状況のデータも照らし合わせながら,今一度,建設意図や経費も含めた建設経緯,さらには,立地・規模・機能などの類似点や相違点を再整理した上で,各施設の特性を把握する。その中から開館後一定期間が経過し自治体内外の交流を主目的としている代表的な施設を選定し,施設の稼働率や利用目的や状況はじめ,施設の管理・運営者や利用者,さらには地域住民へのアンケート・ヒアリング調査等を通して,地域コミュニティへの役割や期待度等を明らかにする。また,施設のランニングコストの分析などを通して,施設の多角的な分析も行う予定である。 なお,新型コロナウィルス感染拡大防止等の観点から,複数の自治体や施設で十分な調査協力が得られなかった場合,当該施設のケーススタディー的な調査分析に切り替え,自治体との信頼関係が十分に得られている葛尾村(復興交流館)での調査分析に焦点を絞ることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究は,東日本大震災並びにその後の原発事故の影響により,福島県内の被災自治体に建設された復興交流施設の実態について,多角的に調査分析するものである。その情報収集には,現地に赴いての観察調査やヒアリング調査等フィールドワークがポイントとなるが,本年度は,新型コロナウィルス感染拡大の影響で,十分なフィールドワークが行えなかったことが要因である。一部,オンライン等による調査に切り替えることで,全体の研究計画の遂行には大きな影響が無かったと考えるが,次年度は,当初計画において詳細な調査が予定されているため,新型コロナウィルス感染拡大防止対策をしながら本来のフィールドワークを行う予定である。
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