本研究は多積雪北陸地域における地方都市にとって急激に進行する人口減少下での有効な中心市街地活性化、都市再生戦略、空き家対策と都市防災の方向性を明らかにし、その統合化を目的とする。研究対象は新潟県内30市町村とした。本年度は県内の区域区分実施都市である新潟市、長岡市、上越市と非線引きの柏崎市の担当部署に分析結果を踏まえて再度ヒアリング調査を実施した。結果として、すべての市で統合化の必要性には一定の理解は得られた。しかし各計画の根拠法が異なっているため担当する計画策定担当課が異なっており、計画書に記載された内容の不一致等は確認するが一体として運用するのは難しいとの見解であった。研究期間内で統合化の方向性を導き出すことはできなかったが、多くの都市から必要性についての理解を得られたため今後も得られた成果を基盤とした研究展開が望まれる。 個別の研究課題として中心市街地活性化基本計画、都市再生の観点から新潟市古町ルフルの整備、長岡市のまちカフェの取り組み、都市防災上の観点から柏崎市の原子力災害時の避難問題、三条市の7.13水害後の住民意識変化、人口減少下での小千谷市の総合戦略の課題抽出、空き家対策として三条市の取り組みについて調査・研究を実施し、その結果を日本都市計画学会東北支部大会で報告した。 さらに、空き家対策は、個別地域で特徴的な取り組みがみられたため、積極的な新潟県内の事例として、湯沢町「きら星BASE(旧保育園を改修して移住者支援拠点に整備するとともに空き家・リゾートマンションを移住者用の住宅として斡旋)」、越後妻有地域「大地の芸術祭(空き家を芸術作品として活用)」、糸魚川市「いえかつ糸魚川(商工会議所が空家の一括管理・移住者支援)」、燕市「クロスロード宮町(空き家跡地をインターン施設として活用)」を取り上げて詳細に調査した。この成果は今後出版を予定している。
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