本研究課題では、UAV写真測量による古墳の高精細な3次元モデルと3次元GISを用いて畿内の終末期古墳の景観を可視化し、各古墳の景観の特徴を明らかにした上で、それらを類型化することにより、終末期古墳の立地原則を解明することを目的とする。 最終年度は、3次元GISによる景観の可視化(3-3)、古墳の景観の類型化(3-4)を行った。 3-3.3次元GISによる景観の可視化:①28基を対象に、古代寺院・官衙遺跡等から古墳を見た景観シミュレーション画像を作成し、各古墳の景観の特徴を明らかにした。携帯端末搭載のLiDAR測量による3次元モデルや大規模開発による造成前の地形を復元した3次元地形モデルを3次元GISで統合可能になった。 3-4.古墳の景観の類型化:①古墳から見た景観を以下2つに類型化。類型a1:見晴らしの良い山や丘陵の尾根や斜面上に立地し遠景の山並みと平野や盆地をパノラマで俯瞰する 20基、類型a2:小規模な谷や盆地内の丘陵上に立地し囲繞空間から遠景の山並みを望む 8基。②古墳を見た景観を以下5つに類型化。類型b1:背後の山の尾根や斜面を背負う 17基、類型b2:小規模な谷や盆地の丘陵を背負う 7基、類型b3:独立丘陵の斜面を背負う 2基、類型b4:独立丘陵の頂上にある 1基、類型b5:台地の上にある 1基。以上より、終末期古墳の立地原則として、遠景の山並みと平野や盆地の俯瞰景観と山や丘陵を背負う景観が重視された可能性が高いことを明らかにした。 研究期間全体を通じた研究成果として、①畿内の28基を対象にUAV写真測量等による古墳の高精細な3次元モデルと3次元GISを用いて終末期古墳の景観を可視化したこと、②景観の類型化を通して、終末期古墳の立地原則として、遠景の山並みと平野や盆地の俯瞰景観と山や丘陵を背負う景観が重視された可能性が高いことを明らかにしたこと、が挙げられる。
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