研究課題/領域番号 |
21K04457
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
齋藤 潮美 早稲田大学, 理工学術院総合研究所(理工学研究所), 客員主任研究員 (40708749)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ベトナム / フエ / ユネスコ世界文化遺産 / 王宮 / 宮殿 / 阮朝 / 建築 / 塗装 |
研究実績の概要 |
ベトナム中部の都市フエは、阮朝(1802-1945)の皇城、歴代皇帝陵墓等が存在し、フエの歴史的建造物群は1993年にユネスコ世界文化遺産リストに登録された。阮朝宮殿建築は多くが木造であり、戦禍や社会状況の変化に伴い建物が失われ、基壇などを残す遺構などが見受けられる。フエの歴史的建造物群内には建築装飾、美術工芸品などに多くの漆・彩色塗装技術(以下塗装技術)がみられ、前近代の伝統塗装技術を知ることができる貴重な資料である。 早稲田大学中川武名誉教授が主導し、早稲田大学建築史研究室が行ってきた(以下早大)フエ王宮の文化遺産の保存修復再生のための一連の研究は、1990年代から開始し、フエ遺跡保存センターを主なカウンターパートとして、遺構の実測調査、復原研究、修復・保存方法などの研究が行われた。 太和殿は嘉隆四年(1805)に創建後、移築と修理を経て現存する宮殿建築である。太和殿は古材、修理材が現存し、最高水準の伝統的建築塗装技術を考察する上で最も資料的価値が高い。 本研究は、これまで早大が行ってきた一連の「ヴィエトナム・フエ阮朝王宮の復原的研究」を継承・発展して行っている研究である。本研究課題では、阮朝期に編纂された文献史料にみられる阮朝塗装技術に関する調査、阮朝末期に訪越した日本人漆工技術指導者に関する調査、塗装の科学分析、塗装サンプル作成などを通じ、阮朝王宮の造営を支えた宮殿の建築塗装生産技術に関する分析を蓄積し、阮朝宮殿建築・太和殿の塗装技術について考察を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究と同様に、伝統的建築塗装技術に関する分析を試みた。ベトナムの塗装技術は、中国、日本、フランス等の影響を受けながら発達したと考えられる。本年度は阮朝末期に訪越した日本人漆工技術指導者や商工省工芸指導所などに関する研究資料の収集、阮朝期に編纂された文献史料などにみられる塗装技術に関する分析、塗装の科学分析や塗装サンプル作成の準備などを行った。
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今後の研究の推進方策 |
阮朝末期に訪越した日本人漆工技術指導者に関する研究資料の収集と分析を通じて、当時の塗装生産技術の特徴を明らかにしたい。文献史料の分析、塗装の科学分析、塗装工程案の作成などを通じて、阮朝王宮の造営を支えた宮殿の建築塗装技術に関する考察を更に深めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付申請時の計画に基づき、おおむね順調に進展している。本年度は阮朝期の塗装技術に関する分析と研究資料の収集を先行して行った。前年度の成果に基づき、次年度は塗装の科学分析を進め、塗装工程案の作成と塗装サンプルの試作準備を進める予定である。
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