研究実績の概要 |
本研究は現地調査を中心としたもので、2021年度は冬期(もしくは春期)休暇期間に三次元測定可能な実測機器を用いて、より正確な空間の姿やベンチや棚などの位置大きさを記録する計画であったが、コロナ禍で海外調査のための出入国や活動の制限により、実施を見送ることになり、国内出張でさえも制限された。そのため以下に示すように、実績としては限定的となた。 ①三次元測定可能なコンパクトな機器(Leica BLK3D)の購入と調査準備:現地調査を冬季休暇中に実施の準備として10月に入手し、使用に必要なアプリの準備を含めた調査方法の確認を行った。 ②古代インドの仏教僧院における人々の活動に関わる文献上のデータの整理・分析:細かくは(イ)古代仏教経典を含んだ僧及び僧院に関わる規則の把握、(ロ)法顕、玄奘等による旅行記等の記述の把握、(ハ)石窟等に刻まれた奉献碑文の内容の把握、の3つがある。その中で(イ)(ロ)の両方に関係する文献として、長沢和俊訳注『法顕伝・宋雲行紀』東洋文庫194、水谷真成訳注『大唐西域記1~3』東洋文庫653、655、657、宮林昭彦、加藤栄司訳『現代語訳 南海寄帰内法伝-七世紀インド仏教僧伽の日常生活-』法蔵館を含んだ日本語訳されたものに加え、その他、Khosla, Romi, Buddhist Monasteries in the Western Himalaya, Nepal, 1979など、古代インドの仏教僧院に関わる研究内容の把握により、幅広く古代インドの仏教僧院の建築の事例把握も進めた。(ハ)に関係する文献としては、Gokhale, Shobhana, Kanheri Inscriptions, Pune, 1991や静谷正雄『インド仏教碑銘目録』平楽寺書店、1979等の文献の分析を中心に、カーンヘリー碑文で言及されている僧院に関わる施設についての把握を進めた。
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