研究課題/領域番号 |
21K04479
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研究機関 | 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群) |
研究代表者 |
川合 伸明 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 准教授 (60431988)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 超高速衝突 / 衝撃破壊 / 高速度可視化計測 / 応力波伝播 / スペースデブリ |
研究実績の概要 |
本研究は、深刻化する宇宙機とスペースデブリとの超高速衝突問題に対して、超高速衝突損傷の形成・進展機構を明らかにし、その知見に基づいた衝突損傷制御法を提案することにより、将来の宇宙機の耐スペースデブリ衝突性能向上に資することを目的としている。2022年度においては、研究実施計画に基づき「界面の導入による応力波伝播挙動の制御および、衝突損傷抑制・制御への応用」をテーマとして研究を推進した。 超高速衝突実験は、2段式軽ガス銃により加速した高速飛翔体を衝突させることにより行った。透明材料を用いることにより、材料内部に生じる応力場と損傷を、偏光シャドウグラフ法および散乱光イメージング法によりそれぞれ可視化し、その進展過程を超高速度ビデオカメラにより撮影した。ターゲット材料には最も一般的なガラス材料であるソーダライムガラスおよび、耐衝撃透明材料として幅広く用いられているポリカーボネートを用いた。ターゲット内部の接合界面が超高速衝突損傷の形成過程に与える影響を評価するため、ターゲットの構造を前年度までの均一構造から弾道軸方向に複数の部材を重ね合わせ接着接合した構造へと変更した。 ソーダライムガラスのみを重ね合わせたターゲットでは、衝突点から伝播する応力波が接合界面へと到達した際、界面を介して両側の部材に損傷が形成され、各部材内部に損傷伝播していくことが確認された。一方、ガラス部材間に中間層としてポリカーボネートを挿入したターゲットでは、応力波の界面への到達に際して、衝突点側界面では損傷が形成されるものの、下流側界面においては損傷形成は確認されず、界面を介しての損傷伝播が抑制される結果となった。本結果は、ソーダライムガラスのような脆性材料における衝突損傷において、応力波と界面の相互作用の重要性を示すと共に、接合条件のデザインにより損傷形成を制御できる可能性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの活動において、偏光シャドウグラフ法および散乱光撮影法の併用による応力分布伝播・損傷進展の実時間可視化計測法の確立し、接合界面を有するターゲットにおける超高速衝突損傷形成過程の評価を行うという当初研究実施計画を達成できている。以上のことから、本研究課題は当初予定に対して遅滞無く進めることができていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の成果により、ガラス材重ね合わせターゲットに接合中間層としてポリカーボネートを挿入することにより、応力波伝播による接合界面での損傷形成を著しく低減できることが明らかとなった。本結果を受けて、2023年度においては、接合中間層が応力波緩和層として働く条件を評価していくことにより、応力波伝播条件の制御による超高速衝突損傷の制御・抑制の指針を探るとともに、最終的な目標である「超高速衝突損傷機構に基づいた損傷制御・抑制手法の提案」を目指していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度に研究代表者の所属機関の変更があり、2021年度に引き続き2022年度においても研究・教育環境整備に多くの時間を費やす必要があった。そのため、当初計画に対して、自身の研究室において実施する実験数を大幅に減らさざるを得ない状況となり、消耗品費が未使用として残る結果となった。しかし、2022年度までの整備により、実験環境が大凡整ったことから、2023年度において、2021年度および2022年度で未実施となっている実験も含め、当初計画で予定していた実験を実施する。その研究計画に合わせ、繰越された物品費を使用していく。
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