研究課題/領域番号 |
21K04486
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
成岡 優 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (10649073)
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研究分担者 |
二宮 哲次郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主幹研究開発員 (80358647)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 飛行特性 / モデル化 / ベイズ推定 / 不確かさ |
研究実績の概要 |
本研究は、航空機の飛行特性を高精度にモデル化しようとするものであり、かつ、得られたモデルが数値流体力学による計算や風洞試験といった他の予測方法で得られるモデルと比較が容易なよう、モデル構造に制約を設けた形で推定を行おうとしているため、入力となる飛行データをモデルにあわせて統計的に選別する方法を新たに構築しようとしている。本年度はその第一段階として、仮定したモデルと、入力に用いる飛行データには、関係性があることを明らかにした。例題として固定翼航空機の縦の運動を扱い、ピッチ角運動が無し・追加的に有るの2通りのデータに対して、ピッチ角速度に依存する項が無い・有るの2通りのモデル、計4通りの推定をベイズ推定の一方法であるマルコフチェイン・モンテカルロを用いて行った。結果、ピッチ角運動が追加的に有るデータにピッチ角速度依存項が有るモデルを適用したものが精度が最も高く、データの量、およびデータに対応するモデルの質が、高精度推定には極めて重要であることが得られた。この成果は後述の国際学会で発表した。また、モデルの精度にもかかわることから、入力となる飛行データ自体についても分析を行った。飛行データは運動方程式をもとに、対気速度や姿勢角といった計測値、および飛行中重量やエンジン推力といった推定値から、空力係数に変換した上でモデル推定に用いている。そこで計測機器の性能や推定方法の経験的誤差をもとに、空力係数の不確かさの要因分析を行った。この分析結果は論文として本年度末時点で投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は①予測に用いられる理論・経験則を構造にもつ飛行特性モデル、②モデル出力と飛行データから、望ましい飛行データを弁別する機構、③モデルのパラメータをより確からしいものに更新する機構の3要素に分解して研究を進めている。初年度にあたる本年度は①・③について進捗が十分にあり、そのため『おおむね順調に進呈している』を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度においては進捗状況で述べた3要素のうち、②を中心に検討するとともに、①・③についても引き続き研究を進める予定である。②を進めるにあたって、より多くの飛行データを解析することが重要となることから、これまで解析してきたピッチ角運動がある飛行データだけではなく、推力変化している飛行データなども用いていく計画である。 また本年度用いた2016年度・2018年度に得られたデータに加え、2020年度に新たに取得したデータも解析対象として加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費についてはシミュレーションPCを2台購入する計画であったが、高性能PC1台を導入することで費用が安く抑えられた。今後研究の進捗に応じてPCを強化することを計画しており、次年度以降に残額を使用する計画である。旅費は学会出張で利用する計画であったが、コロナ禍でのオンライン開催となったため、全額未使用となった。次年度の学会参加機会を増やし、出張旅費として使用する計画である。
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