研究課題/領域番号 |
21K04488
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研究機関 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 |
研究代表者 |
岡田 孝雄 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 主任研究開発員 (50392858)
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研究分担者 |
小笠原 俊夫 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20344244)
宮木 博光 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (80358704)
神山 晋太郎 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 航空技術部門, 研究開発員 (40916516)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 被雷損傷 / 着雷形態 / 表面状態 / ジュール発熱 / 熱分解 |
研究実績の概要 |
航空機の一次構造部材に使用されている東レT800/3900-2Bの擬似等方積層板について、Cuメッシュと塗装の有無による4種類の表面状態の試験片を作成して、SAEの試験波形からA, B, C波形を元に修正を加えた複合波形を用いて模擬雷撃試験を行った。雷撃試験における着雷位置の挙動を高速度カメラで撮影し、試験片表面の温度変化をサーモグラフィで計測した。また、被雷後の試験片の損傷を超音波探傷により評価した。その結果、金属材料の場合は塗装が絶縁層となるため、複合波形の着雷位置が一カ所になるのに対して、CFRPの場合、雷電流が流れることによるジュール発熱で着雷位置から離れたところで樹脂の熱分解を生じ、熱分解ガスの放出により塗装が破壊され、A波形による着雷位置と異なる箇所にC波形で被雷することを明らかにした。超音波探傷の結果、Cuメッシュなし試験片の被雷損傷はA波形によるもので、C波形による被雷損傷は表層のみと判断された。また、Cuメッシュを有する試験片の場合、A波形によりCuメッシュ形状に沿ったメッシュの溶損を生じ、その後のC波形では着雷位置が移動し、A波形によるメッシュの溶損よりも広範囲の損傷を生じることを確認した。 被雷損傷に関する数値解析モデルの改良にも着手し、高速度カメラ像から得られたアークルート径を用いて、C波形がCuメッシュなし塗装なしの試験片の被雷損傷に与える影響の解析を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
航空機の一次構造部材に使用されている東レT800/3900-2Bの擬似等方積層板について、Cuメッシュと塗装の有無による4種類の表面状態の試験片を作成して、SAEの試験波形からA, B, C波形を元に修正を加えた複合波形による雷撃試験を行った。塗装ありの試験片においても、雷電流によるジュール発熱を起因として着雷位置から離れた箇所での樹脂の熱分解、塗装の破壊が生じて、着雷位置が移動する可能性があることを示した。 また、FEMによるC波形が被雷損傷に与える影響の評価を開始した。
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今後の研究の推進方策 |
Cuメッシュと塗装の有無による4種類の表面状態の試験片の複合波形による模擬雷撃を行い、A波形におけるアークルートの広がり、C波形における着雷位置の動きを高速度カメラを用いて、より明瞭に観察することを目指す。 被雷が複合材料の被雷損傷に与える影響の数値解析を進め、C波形が被雷損傷に与える影響の検討を行う。合わせて、Cuメッシュがある場合の数値解析に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
数値解析の作業量が当初予定より少なく、これに伴いライセンス料が減ったことによる次年度使用額が生じた。これは翌年度請求分と合わせて解析におけるライ センス料として使用予定である。
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