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2021 年度 実施状況報告書

ライトフィールド光学系による遷音速三次元複葉翼の空間流れ場計測と空力特性の解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K04495
研究機関防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)

研究代表者

樫谷 賢士  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 教授 (80535279)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード可視化 / シュリーレン法 / 風洞試験 / 三次元流れ / 超音速複葉翼 / ライトフィールド光学系
研究実績の概要

令和3年度は,ライトフィールドカメラによる流れ場の可視化特性および,衝撃波管によるブーゼマン複葉翼の流れ場解析を実施した.はじめに,ライトフィールドカメラの任意断面の可視化に向けた基礎実験として通常のデジタルカメラとの比較実験を行った.実験に用いたフォーカシングシュリーレン光学系は,拡散光源,拡散光源からの光束全体を集光するフレネルレンズ(焦点距離225 mm),複数の光源となる遮光板(ソースグリッド),結像レンズ(直径64.3 mm,焦点距離180 mm),光源像の光束の一部を遮断する第二遮光板(カットオフグリッド),得られる像を撮影用カメラに収束させるフレネルレンズより構成される.実験では焦点深度をパラメータとして,内径0.8mmのノズルからの噴流の可視化を行った.その結果,ライトフィールドカメラでも光軸に平行な任意断面の流れ場の可視化が可能であることが明らかになった.
次に,遷音速流れにおけるブーゼマン複葉翼の3次元流れ場の解明を行った.間欠式の遷音速風洞として用いた衝撃波管の測定部は,高さ150mm幅60mmの矩形である.供試模型として翼弦長75 mm,幅60 mm,設計マッハ数1.7のブーゼマン複葉翼を用いた.主流マッハ数は0.67,0.70,0.73である.可視化には上述のフォーカシングシュリーレン光学系を用い,模型翼幅方向中央に可視化のための焦点を合わせた.その結果,衝撃波管の初期圧力比p4/p1 = 25.6とした場合、入射衝撃波が翼型前縁を通過してから2.3 ms以降に安定した熱気流が得られること,また,迎え角 0°のブーゼマン複葉翼翼間に発生する衝撃波は,主流速度が増加するにつれ後方に移動し,翼頂点からはく離した境界層との干渉が大きくなることが明らかになった.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)ノズルからの噴流の可視化結果より,これまで物体撮影で用いられてきたライトフィールドカメラをフォーカシングシュリーレン光学系に用いることで,焦点深度の小さい流れ場の任意断面の可視化が可能であることが明らかになった.
2)遷音速衝撃波管を間欠式の風洞として実施したブーゼマン複葉翼の翼間流れに関する研究では,主流マッハ数が増加すると翼間に発生する衝撃波は後方に移動し,境界層との干渉が大きくなることが明らかになった.
3)遷音速での利用にむけたブーゼマン複葉翼の抵抗低減技術など,低速での空力特性を明らかにした.
以上のように,ライトフィールドカメラによる可視化特性とブーゼマン複葉翼の空力特性について成果が得られ,研究はおおむね順調に進展している.

今後の研究の推進方策

1.遷音速での抵抗低減技術である複葉翼のスタッガー効果の流れ場特性の解明.
2.風洞天秤による高亜音速から遷音速流れの空力特性の検討

次年度使用額が生じた理由

研究の進捗により,圧力センサー等の購入を再検討したところ次年度の使用が生じたので,実験の遂行に必要な光学部品等の購入を予定している.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Analysis of a Wing-Fuselage Biplane with Trailing-Edge Flaps in Low-Speed Flow2022

    • 著者名/発表者名
      Thai Duong Nguyen , Masashi Kashitani, Kazuhiro Kusunose, Masato Taguchi, Yoshihiro Takita
    • 雑誌名

      Journal of Aircraft

      巻: 59 ページ: 350-365

    • DOI

      10.2514/1.C036154

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フォーカシングシュリーレン法により可視化された流れ場のPIV解析に関する基礎研究2021

    • 著者名/発表者名
      樫谷賢士,田口正人
    • 雑誌名

      航空宇宙技術

      巻: 20 ページ: 97-100

    • DOI

      10.2322/astj.20.97

    • 査読あり
  • [学会発表] PDI法によるブーゼマン複葉翼の翼間流れに関する研究2022

    • 著者名/発表者名
      グエン タイ ズオン,辻康平,田口正人,樫谷賢,楠瀬一洋
    • 学会等名
      2021衝撃波シンポジウム
  • [学会発表] ライトフィールド光学系による流れ場の可視化に関する基礎研究2022

    • 著者名/発表者名
      辻康平,田口正人,樫谷賢士, 仲尾晋一郎,宮里義昭
    • 学会等名
      2021衝撃波シンポジウム
  • [学会発表] Aerodynamic Characteristics of Busemann Biplane Installed with High-Lift Device Using Low-Speed Smoke Wind Tunnel2022

    • 著者名/発表者名
      Masashi Kashitani, Nguyen T. Duong, Masato Taguchi, Kazuhiro Kusunose
    • 学会等名
      AIAA Paper 2022-0140
    • 国際学会
  • [学会発表] An Experimental Investigation of Busemann Biplane in Transonic Flow by Focusing Schlieren Technique2022

    • 著者名/発表者名
      Thai Duong Nguyen, Masato Taguchi, Masashi Kashitani
    • 学会等名
      AIAA Paper 2022 0769
    • 国際学会

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公開日: 2022-12-28  

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