研究課題/領域番号 |
21K04496
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
平林 紳一郎 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (90463877)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 浮体式プラットフォーム / 渦励起運動 / 複数カラム / 低アスペクト比 / 機械学習 / 上下運動 |
研究実績の概要 |
本研究では、流れの中でのカラム同士の渦干渉がもたらす流体力について、複数の円柱や角柱を任意の場所に配置した浮体において渦励起運動を簡易的に予測するモデルを開発すること、さらに本運動の新たな知見を得ることを目的としている。 前年度に構築した低アスペクト比2円筒におけるデータベースを用いて流体力モデルの構築を行った。まず円筒間間隔や角度条件が網羅的に揃っている静止状態について、2円筒間の流体力について数理モデルを構築し、実験値との比較を行った。その結果、平均抗力係数については数理モデルである程度推定が可能であるが、その他の流体力については現状では限界があることが判明した。続いて2円筒の流体力から4円筒の流体力の推定について、複数の代表的な機械学習を用いて比較を行った。教師データとして2円筒の情報に加えて4円筒データの一部を教師データに加えることで推定精度が向上した。手法間の比較としては、ガウス過程回帰が最も良好であったものの、線形回帰モデルでもある程度傾向を捉えることができていた。モデル式の構造が明確な線形回帰モデルにおいて、過去に経験的知見をベースに構築した推定モデル式との比較を行ったところ、各円筒からの影響について、経験的知見だけでは十分反映できていない成分が存在することが分かった。 本研究ではこれまで渦励起運動として浮体の水平運動のみに着目してきたが、水平方向に延びた筒状部材が水中部に存在する場合、同様に上下方向の運動が励起される可能性があるという予想の元、これを実験的に確認するための模型実験を行った。想定浮体の1/60の模型を設計、製作し、曳航水槽にて速度および流れの流入角度を変えた実験を行った。その結果、渦励起運動においてpitch, roll, heaveといった上下方向の運動が起こり得ること、各動揺モードは連成して複数の周波数にて共振を起こすことが実験的に確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度構築したデータベースを用いて任意の円筒間距離(上限有)、角度において静止状態の4円筒の流体力を機械学習により推定し、ガウス過程回帰を用いれば流体力を精度よく推定することができ、モデルの明確な線形回帰モデルでも傾向を正しく捉えられることが分かった。ただし、教師データとして角度や円筒間距離を変えた網羅的なデータが必要となるため、振動状態の推定には現状のデータでは足りておらず、機械学習をそのまま応用するのは難しいため、別途方法を模索する必要がある。 さらに、これまで水平運動しか着目されてこなかった渦励起運動が上下方向の動揺も引き起こし得るという新規性の高い知見を模型実験により得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
静止状態に比べ、振動状態におけるデータの量が十分ではないため、今年度行った機械学習を用いたモデル構築を全ての振動状態に応用するのは難しい。まずはデータのある特定の周波数、加振振幅に加振条件を絞った状態で振動状態の推定を行うことを予定している。合わせて、機械学習に代わる推定手法も検討する。 上下方向の動揺についてはカラム間の干渉がもたらす影響についてメカニズムを考察し、その定量化を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施した水槽実験に係る模型製作、水槽利用料が想定よりも少なく済んだため、前年度の剰余金に加えて少額の残余が生じた。残余分は次年度の成果報告(国際学会、雑誌)に係る費用、およびデータ解析や管理のための機器に充てる予定である。
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