研究実績の概要 |
本研究では、流れの中でのセミサブ型浮体のカラム同士の渦干渉がもたらす流体力について、複数の円柱を任意の場所に配置した浮体の運動を簡易的に予測するモデルを開発すること、さらに渦励起運動に関する新たな知見を得ることを目的としている。 最初に運動する低アスペクト比2円筒における相互干渉を含んだ流体力のデータベースを水槽実験により構築し、円筒間間隔や角度条件が網羅的に揃っている静止状態について、流れ場の経験的知見に基づく数理モデルを構築した。その結果、平均抗力係数については数理モデルである程度推定が可能であるが、その他の流体力については提案する数理モデルによる予測では限界があることが判明した。続いて機械学習を用いて2円筒の流体力データを用いて4円筒の流体力を推定する試みを行った。教師データとして2円筒の情報では不十分で、4円筒データの一部を教師データに加えることで推定精度が向上することが分かった。複数の代表的な機械学習手法の比較を行った結果、ガウス過程回帰が最も良好であったものの、線形回帰モデルでもある程度傾向を捉えることができていた。数理モデル式との比較を行ったところ、各円筒からの影響について、経験的知見だけでは十分反映できていない成分が存在することが分かった。振動状態における流体力についても同様に機械学習を用いた推定モデルを構築することが可能と予想される。 渦励起運動に関する新たな知見としては、浮体没水部に水平に伸びた筒状部材が存在する場合、これまで着目されてこなかったheave, pitch, rollなどの上下方向の渦励起運動が励起される可能性があることを模型実験により初めて示した。各運動モードは連成して複数の周波数で共振を起こすことが確認された他、部材間の渦干渉の仕方により異なる運動モードが発現することが示唆された。
|