研究課題/領域番号 |
21K04498
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
榧野 純 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (60425759)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 海事教育機関 / 教育訓練 / 避航操船 |
研究実績の概要 |
船舶の航海士に必要不可欠なスキルの一つに避航操船がある.安全を担保しつつ高効率な避航操船を実現する避航問題は,船舶の性能,外部環境,関連法規など様々なことを考慮しなければならず,非常に複雑かつ難解な問題である.一方,海事教育機関では優秀な海技者を育てる為に操船シミュレータを用いた訓練を実施している.この訓練により,学生は座学では得られない感覚的な素養を習得することができる.しかしながら,現在,避航操船に係る訓練の評価はインストラクターの主観で行われており,評価基準に曖昧さがある.そこで本研究では,避航操船時の行動決定を支援する手法として有効なツールであるObstacle Zone by Target (以下,OZTとする)を利用し,高い操船スキルを持っている熟練航海士の“操船スキルの可視化”を図るとともに,その成果を用いた教育,訓練および訓練の客観的な評価への利用について検討している.本研究に関して,当該年度までに明らかになったことは,・熟練航海士と学生の操船スキルの違いは,実際の航跡では表れず,OZTを利用することによって顕著に表れた.・学生が行った幾つかの操船結果では,船舶の航跡情報だけでは“潜在的な衝突の危険”を見い出すことができなかったが,OZTを利用した解析によって“潜在的な衝突の危険”があったことが明確に示された.・衝突もしくはニアミスを起こした操船結果に対してOZTを用いて解析をすると,他船認識におけるミス,他船情報の解析におけるミス,行動決定におけるミス,自船の運動特性の把握におけるミスなど,衝突もしくはニアミスの発生原因を明確に示すことができた.今後,学生が陥りやすい操船ミスを洗い出し,訓練の評価として使えるように項目化する.さらに,学生の教育・訓練に使用する教材を作成し,学生を対象に教育,訓練の試行を実施し,研究成果の有効性を明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,熟練航海士(現役の船長)と学生に対し,様々な避航操船シナリオを示し,そのシナリオ上で,どのような見張りを行い,どのような避航操船をするかについて調査を行った.また,その調査結果について分析を行ったところ,熟練航海士と学生の操船スキルの違いや,操船ミスの発生原因の明確化などが図れた.今後,実際の訓練に利用できるように,学生が陥りやすい操船ミスの洗い出し,スキル評価のための項目化を行う.また,ここまでの研究成果について,関連する学会等で発表する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
現在,熟練航海士と学生が行う避航操船に,OZTによる解析を当てはめ,彼らの危険察知レベル,デシジョンメイキング,避航動作開始のタイミング,さらには,彼らが自船からOZTをどの程度離して航行しているか等について調査し,“操船スキルの可視化”を図るとともに,熟練航海士と学生の操船スキルの違いを明らかにしているところである. 今後,上述の成果を教育,訓練および訓練の客観的な評価に利用することついて検討し,その有効性を明らかにする予定である. また,最終的には,本研究の成果についてまとめ,関連する学会等で発表する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では,効果的に研究を進めるために,有識者(外航・内航商船の航海士,水先案内人,独立行政法人海技教育機構所属練習船の教官など)に対してヒアリング調査を行い,実際の現場に即した研究を実施しているが,当該年度は新型コロナウイルスの影響により,対面方式でのヒアリング調査が実施できなかったため,旅費等に係る次年度使用額が生じた.当該年度実施できなかったヒアリング調査等については,翌年度に実施する予定である.
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