研究課題/領域番号 |
21K04499
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研究機関 | 東京海洋大学 |
研究代表者 |
岡崎 忠胤 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70392686)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自動着桟 / システム信頼性 |
研究実績の概要 |
船舶の離着桟は難しい操船局面の1つであるため,船長は自身の経験を元に安全マージンを設定して離着桟操船を行う.そのため,例えば自動操縦システムによる制御された船舶が岸壁への近づく速度が,船長の想定より遅ければ効率が悪い操船と考え,速すぎれば危険な操船だと考える.本研究では,自動操縦の途中で機器にトラブルが発生しても岸壁への衝突を回避できる操船方法を安全マージンのある操船方法と考えた.そこで,操縦機器の信頼性を解析し,トラブルが発生する頻度を推定した.そして,トラブルが発生する頻度が高い機器が故障した場合,別の操縦装置を用いて岸壁との衝突を回避する条件を系統的に検討し,その検討結果を自動操縦システムの操船計画に反映させる手法を開発した. 自動操縦システムにより船舶が制御されている状況において,船長は自動システムがどういう方針で船舶が操縦されているかを理解が必要となる.そこで,船舶が今後,どのように制御されて,どの位置へ移動してくかを表示するシステムが必要となる.そこで,船舶の運動モデルを用いて船体運動を予測し,今後,船舶はどの位置へ移動しているかを表示するシステムを構築した. 一方で,本研究で開発した自動操縦システムを操縦者が評価するためには,多くの被験者実験が必要となる.しかし,実船において自動システムを用いて多くの実験を行うことは難しい.そこで,操縦者が自動操縦システムを評価するための操船シミュレータを利用する必要がある.操縦者が着桟操船の空間に没入するためには,ヘッドマウントディスプレイを用いたVR操船シミュレータが最適である.そこで,VR操船シミュレータの基本システムを構築した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,①操船計画立案シスステムの研究開発について50%進捗させ,②離着桟制御システムの研究開発について30%進捗させる予定であった.具体的には,①操船計画立案シスステムの研究開発の小項目として「船舶の操縦装置(アクチュエータ)の信頼性解析」を100%実施し,「アクチュエータの信頼性を考慮した安全マージンの検討」を50%実施する予定であった.しかし,研究が順調に進展し「アクチュエータの信頼性を考慮した安全マージンの検討」を100%実施することができた.一方②離着桟制御システムの研究開発の小項目として「運動予測システム」を100%実施し,「追従制御システム」を30%実施する予定であった.2つめの小項目は船舶の自動操縦システムの開発となるため,実船実験を行いながらの開発が必要となる.しかし,コロナ禍の影響で実船実験が困難となり,「追従制御システム」の研究開発には着手することができなかった.もう1つの「運動予測システム」についても実船での検証が必要であったが,上記の理由で実船実験は困難となった.そこで,「運動予測システム」については,学内のポンドで実験が可能な小型ボートを対象にシステム開発を実施し,システムを構築した. 上記の通りコロナ禍の影響で着手できなかった小項目の代わりに,次年度実施予定であった③評価システムの研究開発の小項目である「VR操船シミュレータ」の開発に着手した.そして,VR操船シミュレータの基本システムを構築した.本小項目の達成度は50%となる. 以上の通り,研究計画はおおむね順調に進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍の影響で予定していた自動操縦システムの研究開発に着手できなかったが,段階的に様々な制限が解除され,実船実験の実施が可能な状況になりつつある.そこで今後は,自動操縦システムの研究開発に重点を置いて取り組む予定である.なお,実船実験の実施が難しい状況が発生した場合は,制御対象を運動予測システムの研究開発で利用した小型ボートに変更して,自動操縦システムの研究を実施する.ただし,対象を小型ボートに変更した場合,大型船と操縦方法が異なるため,自動操縦システムの動作確認しか実施できない.そこで,自動操縦システムの性能の検証は,大型船の運動を再現する操船シミュレータを用いて実施することになる. 今後の研究計画で主要な項目は,①操船計画立案シスステムの研究開発の最後の小項目「安全マージンを設定した最短時間制御解の導出」となる.現在までに検討を実施してきた着桟操船時の安全マージンを,最短時間制御問題にどのように組み込んでいくかが研究のポイントとなる.そこで実際の着桟データを比較検討するために,東京湾のAISデータから大型船の離着桟データを抽出し,航跡と船速を分析する.その上で,今までに検討した安全マージンを組み込んだ計画航路を設定し,最短時間制御問題を解いていくことを試みる予定である. なお,計画を前倒しで50%まで進捗させたVR操船シミュレータの研究開発については,最終年度に完成させ,評価実験を行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
購入した機材等が当初の予定価格から変更となったため2,026円の残額が発生した.残額は,次年度における研究機材購入費にあてる予定である.
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