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2022 年度 実施状況報告書

津波による海底堆積物擾乱が海洋環境に与える影響

研究課題

研究課題/領域番号 21K04500
研究機関神戸大学

研究代表者

林 美鶴  神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 准教授 (10294258)

研究分担者 井上 徹教  国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (70311850)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード津波 / 海底堆積物 / 溶出 / 栄養塩 / 大阪湾 / 再堆積
研究実績の概要

当初計画に加え、初年度に行った予備実験の結果を受けて、実験系の改良や実験条件の見直しを行い、測点数の追加、洗掘コアの追加、溶出実験期間の延長、分析項目数の追加などを行い、以下の通り実験を行った。実験結果を解析し、現在考察中である。
2022年7月7日に、大阪湾の3地点で採泥と海底直上水の採水を行った。津波により、A地点では堆積物の洗掘が、B・C地点では再堆積が起こると予想され、B・C地点は底質が異なる。A・C地点で各3本、B地点で6本の堆積物コアを採取した。採取したコアで、現状を表す「コントロール」コア、津波により表層堆積物が巻き上げられた状態を想定した「洗掘」コア、その後再堆積した状態を想定た(表層堆積物を曝気した)「再堆積」の3種類のコアを作成した。いずれのコアも、採水・濾過した現場海水で堆積物上を満たし、溶存酸素・水温センサー、プロペラ、採水チューブを入れ、シール・オイルで密封した。実験室内温度を夏季の平均的な泥温23℃に保った。直上水中の溶存酸素飽和度が0%になった後、7月14日まで毎日2回直上水の採水を行った。採水量の海水を、曝気した現場海水で補充した。7月14日に、各地点の3種類のコア計9本から直上水を取り除き、堆積物を表面から1cmずつ3層採取し、遠心分離機にかけて間隙水を得た。B地点の3本(3種類)のコアからは、直上水の採水を数日毎に行い、8月18日に間隙水を採取した。採水した現場海水、直上水、間隙水は直ちに濾過して冷凍保存し、後にアンモニア態窒素、硝酸態窒素、亜硝酸態窒素、リン酸態リン、ケイ酸塩、溶存態炭素濃度を測定した。これら無機塩の溶出速度は、直上水中栄養塩濃度の時間変化や、間隙水から直上水にかけての濃度勾配から推定できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度に予定していた実験が、新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかったため、2年目に実施した。
また、2年目に予定していた数値モデルの構築は、利用している京都大学のスーパーコンピュータの更新のため実施できなかった。

今後の研究の推進方策

三次元海洋物理モデルにより各季節の流動場のシミュレーションを行い、堆積物輸送経路と再堆積海域を予測する。また、得られた流動場や現状の水環境データを数値生態系モデルに与えてシミュレーションを行い、実測データと比較することで再現性を確認し、モデルを改良する。数値生態系モデルが完成したら、津波による環境変化(巻き上げられた堆積物分布、これによる海中光減少、減少した溶出速度、など)を与えてシミュレーションを行い、一次生産に及ぼす津波影響の定量化を試みる。

次年度使用額が生じた理由

スーパーコンピュータの更新のため利用できず、利用料を執行しなかった。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Estimation of Changes in Nutrient Release Rate From Sediments After Tsunami by Incubation Experiment2023

    • 著者名/発表者名
      Mitsuru Hayashi, Tetsunori Inoue, Soichi Hirokawa
    • 雑誌名

      Water

      巻: preprint ページ: -

    • DOI

      10.20944/preprints202305.0166.v1

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 津波による海底堆積物擾乱による栄養塩溶出量変化2023

    • 著者名/発表者名
      林美鶴
    • 学会等名
      第15回マリンハザード研究会
  • [学会発表] 海洋環境に対する津波マリンハザード~海底堆積物擾乱と海水環境~2023

    • 著者名/発表者名
      林美鶴
    • 学会等名
      神戸大学都市安全研究センター第3回震災復興・災害科学シンポジウム
  • [学会発表] 津波による海底堆積物擾乱を模した栄養塩溶出実験2022

    • 著者名/発表者名
      林美鶴・松本大一・井上徹教
    • 学会等名
      日本地球惑星科学連合2022年大会
  • [学会発表] 津波マリンハザード研究講座2022

    • 著者名/発表者名
      林美鶴
    • 学会等名
      ぼうさいこくたい2022

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公開日: 2023-12-25  

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