研究課題/領域番号 |
21K04500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分24020:船舶海洋工学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
林 美鶴 神戸大学, 内海域環境教育研究センター, 准教授 (10294258)
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研究分担者 |
井上 徹教 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, 領域長 (70311850)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 津波 / 海底堆積物 / 溶出 / 再堆積 / 大阪湾 / 栄養塩 / 基礎生産 / マリンハザード |
研究成果の概要 |
津波後の海底からの栄養塩溶出速度の変化を実験により推定した。津波後の溶出速度は現状に比べ、NH4-Nは71%、PO4-Pは62%に低減すると予想される。大阪湾の一次生産はリン律速で、基礎生産に対する栄養塩溶出の寄与が大きい現状では、津波による溶出量低下は基礎生産をさらに制限する可能性があり、周辺海域への栄養塩の供給が減少するため周辺海域の一次生産にも影響を与える可能性が示唆された。また、津波による海底堆積物の巻き上げで、水中に放出された栄養塩の拡散をシミュレーションしたところ、半分程度が2ヶ月間は大阪湾内に残存し、流出速度は徐々に低下して、概ね9ヶ月後には1割以下に低減する事が示唆された。
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自由記述の分野 |
海洋学
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
富栄養化時代の総量規制により貧栄養化している現状を、津波はさらに悪化させる可能性が示唆された。津波による栄養塩環境の変化について将来予測を行った事例はなく、長期的な海洋環境保全施策に津波は考慮されて来なかった。しかし津波は必ず起こるため、脆弱性の低減やレジリエンスの強化は、海洋環境保全施策に盛り込むべきである。本研究の予測が正しいか否かは実際に津波が発生しなければ分からないが、予測を行っておかなければ検証はできない。本研究は次に起こる津波だけでなく、予測手法をブラッシュアップすることで、数十年毎に発生する津波に対するレジリエンスを高める研究であり、学術的にも社会的にも高い意義を持っている。
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