本研究課題では、海中・海面ロボットから構成される船舶・海洋構造物の自動点検システムの実現に必要不可欠である海中・海面ロボットの協調動作制御法の開発を目指している。第一・二年度前半において、海中ロボットと海面ロボットに結合されたケーブルの動特性を正確かつ簡単に表現する数学モデルの導出に取り組んだ。しかしそのモデルを用いた場合、リアルタイム制御が困難であることが判明した。そこで、点検用カメラを先端に搭載したロボットアーム(マニピュレータ)を有する海中・海面ロボットから構成される自動点検システムを考案した。そして、ケーブルの影響により、いずれのロボットにおいても、本体の制御性能が著しく劣化することが想定されるが、そのような場合であっても、アーム先端のみは良好に位置決めされる制御法を、それぞれのロボットに対して開発することにした。第二年度後半では、まずは海中ロボットに対する制御系を設計した。
最終年度(第三年度)では、点検用カメラを先端に搭載したロボットアーム(マニピュレータ)を有する海面ロボットの制御法を開発した。そして、その成果の一部を国際会議に公表した。また、第二年度に設計した海中ロボットに対する制御法を拡張したものが学術雑誌に掲載された。なお最終年度後半において、海面ロボット制御法に対する詳細な数値シミュレーションの実施ならびに海中ロボットと同程度に良好な制御性能を有する新たな海面ロボット制御法の開発に取り組んだ。
その一方で、海中ロボットと海面ロボットの制御法を個別に開発したが、これらのロボットがケーブルで結合された協調システムに対し、それぞれの制御則を同時に実装した場合の動作制御結果を検証することが重要である。しかし当初の計画とは異なり、ロボット実機にマニピュレータを搭載する必要がある。そこで最終年度において、実験システムの改良を検討しつつ、その構築に取り組んだ。
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