研究課題
キャビテーションをともなう流れでは,気泡の崩壊により物体表面に損傷を与えることが広く知られており,これまでキャビテーションの崩壊にともなう衝撃力計測など様々な研究が報告されている.小型船舶の船外機では,プロペラの腐食抑制を目的として塗装が施されている場合がある.しかし,船舶の使用状況により,表面に塗布された塗装の剥離や損傷が確認されている.これらの要因として,キャビテーションエロージョンであることが推測されるが,プロペラから生じるキャビテーションが直接的な原因とは断定されていない.また,この塗装の損傷が発現するまでの時間,損傷程度などを推定するには至っていない.本研究は小型回流水槽を用いたモデル実験により,塗装を施した縮流モデルをキャビテーション状況下に曝し,塗装の損傷とキャビテーションの因果関係を明らかにし,塗装損傷の推定法を得ることを目的とする.これまでの実験では,流路内に設置する縮流モデルに塗装を施し,流速,運転時間を変えた場合の塗装剥離位置,剥離面積を評価してきた.また,縮流モデルにPVDF(ポリフッ化ビニルデン)を埋め込み,多点衝撃力計測と高速度カメラを用いた動機撮影を行った.その結果,塗装の剥離位置とキャビテーションの崩壊による強い衝撃力計測位置が一致することを確認した.実験結果の詳細を調べるため,OpenFoamを用いた数値シミュレーションを行った.定性的には数値シミュレーション結果と本実験と流れの相関は得られた.
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