本研究では、内燃機関から排出される温室効果ガス(GHG: greenhouse gas)を低減するため、アンモニア(NH3)ガスを燃料として利用する技術開発を行った。具体的には、炭化水素燃料と比べて着火温度が高く燃焼速度が遅いNH3と空気(Air)の予混合ガスの燃焼特性(着火性および燃焼性(火炎伝播速度等))を改善する手法として、マイクロ波プラズマ支援着火・燃焼技術を適用し、NH3燃焼時の一酸化二窒素(N2O:GHGの1つ、二酸化炭素の約300倍の地球温暖化係数を持つ)の生成を抑制しながら、NH3・Air予混合ガスを安定・高効率に着火・燃焼させる技術を開発することを目的とした。 最終年度は、マイクロ波プラズマ支援着火・燃焼技術を用いたNH3・Air予混合ガスの希薄燃焼に焦点を当て、NH3・Air予混合ガスの当量比および流速、プラズマ生成(マイクロ波入力)電力、排ガス成分(未燃NH3、窒素酸化物NOx、およびN2O生成量)の関係を実験的に調査した。本調査の結果、当量比1.0以下のNH3・Air予混合ガスのマイクロ波プラズマ支援着火・燃焼が可能であることを実証すると共に、当量比1.0、予混合ガス流速0.167m/s、プラズマ生成電力84Wにおいて、排ガス中のNH3濃度25ppm、N2O濃度4ppmを達成した。また、本実験装置を用いた純NH3改質H2生成技術に関する研究を行い、100%NH3ガスをプラズマ化可能であることを実証すると共に、NH3流量0.2L/min、プラズマ生成電力112Wにおいて、NH3分解率84%を達成した。
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